臼杵市には老舗と呼ばれる料亭が3軒ある。

いずれも本格的な河豚料理や会席料理を味わえる各式ある料亭として、大分県内でも有名である。そんな大分・臼杵を代表する「日本料亭喜楽庵」で修学旅行生を対象にした研修プログラムを開発中である。

 とは言え、まだ取り組みを始めたばかりで、内容はこれからじっくりと吟味していこうという段階なのだが、和食のマナーやおもてなしに関する学びの機会は洋食のそれと比べて意外に少ない。旧臼杵藩主である稲葉家の下屋敷をかつての本館とし営業していたこともあり、稲葉家伝承の「本膳料理」を調理法や作法とともに受け継いでいるという全国的にも貴重な料亭なだけに、その教育的価値は他に類をみないと言えるだろう。

 

女将の山本千代さんが講師として和食や料亭文化を語る

 

質素倹約の精神の中で生まれた様々な郷土料理

 

 手前左の「黄飯」は、くちなしの実を水に浸し、その黄色に染まった水で炊いたご飯。隣の「かやく」と呼ばれる白身魚や野菜、豆腐などを炒めて煮込んだ「けんちん汁」のようなものと一対でいただく。

 その上の「きらすまめし」は、残り物の刺身や魚をおろしたあとの中落ちに、豆腐の製造過程で出るおからをまぶしてかさ増しをした倹約料理。古くから家庭料理として親しまれており、現在では飲食店やスーパーの総菜コーナーでも常に見かける郷土料理である。

 

 臼杵を代表する料理は?と聞かれると、すぐさま贅沢な「ふぐ」が思い浮かぶのだが、ふぐ料理は昭和になってからの普及で、それ以前の郷土料理とは随分と異なる。

さらに臼杵市では平成に入ってからも、完熟堆肥を製造する「臼杵市土づくりセンター」を設置し、土づくりを基本とした環境保全型農業・有機農業を推進している。

 

 このような独自の食文化が国際的に評価され、2022年11月には『ユネスコ世界創造都市ネットワーク』に食文化分野で加盟認定されたという経緯もある。

 「ほんまもん」という言葉が用いられる臼杵の農産物と観光人。その精神と取組みを是非とも次代を担う若者に語り継いでいってもらいたい。

 

 

 

 

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