令和5年1月吉日。

 

 今年最初の出張は・・・

 

熊狩り、・・・ではなく 

 

 山口県が主催する農泊セミナー&ワークショップ、その講師とファシリテーターである。

 

 慣れない山陽道から山間部へと、向かったのは清流で有名な錦町。

 

 夏はこんなにも美しい。

 

前に訪れたのは東日本大震災のあった年だった

 

 あれから早くも11年が経った。

 

 以前お世話になった今井さんご夫婦(前回の農泊)は元気にしておられるだろうか?セミナーの開始が午後からだったこともあり少し早めに出かけて、今井さん達に会いに行くことにしてみた。

 

 今井さんが住んでおられる宇佐郷は、錦町の最奥部にあり、鹿や猪だけでなく熊も日常茶飯事のように出没するというまさに秘境の地であった。特に大寒を過ぎたばかりのこの時期は豪雪地帯になっていることも珍しくなく、ノーマルタイヤで雪道へ果敢に挑む新年の私は、昨年までとはひとあじ違う勇敢なセミナー講師なのだった。

 錦川に沿って道路脇の残り雪をチラチラ気にしにしつつ187号線を北上。見覚えのあるピュアラインにしきや雙津峡温泉駅を過ぎ、須川の辺りまで来たところで、景色が真っ白に変わった。

 

 「あ、これ以上無理。」

 

スタッドレスタイヤを持たなくなったのはいつ頃からだろうか

 

 何事も潔さというか諦めが肝心である。

 

 

 あえなく、Uターンして会場へと引き返す。

 

 

 1時間後、主催者や関係者と合流して何事もないようにセミナーが始まった。

 この日は、錦町周辺の実践者や行政関係者の方々も参加されており、私ともう一人の講師(元上司であるSさん)のプチ講義の後、2班に分かれてディスカッションを行った。KJメソッドという古典的ともいえる手法で参加者のアイデアや考えをまとめて発表する。

私は実践者チームのファシリテートを担当。

 

 11年前の来訪目的は旅行会社が提案する修学旅行企画書の制作だった。この地域だけで当時は受入家庭が60軒ほどあり、大手旅行会社も注目していたのだったが、その後は高齢化の波もあり徐々に低迷していたと聞いていた。学校団体の他は、訪日外国人団体客を少々受け入れていただけで、コロナ収束後の反転策として新たな市場開発を願っているらしい。

 主催者である山口県は、個人客に向けた環境整備や商品開発を主眼としたセミナーに期待しているようだ。当然のことながら、僅か2時間余りの議論で解決すべくもなく、Sさんとは事前に「課題解決の鍵となる考え方や方向性を導くこと」を置いていこうと話し合っていた。

 「独自の個性やらしさ」を「他が認める価値」に変えられるか?その重要性と難しさに気づいていただくことであり、もっとシンプルにいうと「誰に」、「何を」提供するかということで、あった。

 

 30分程のディスカッションの後、まずは行政チームの発表。

 

模造紙を見た私は思わず「えらく寂しい内容やなぁ」と漏らしてしまった…

 

 発表を聞いた実践者チーム代表のS会長が冒頭、

 「この発表を伺い、我が町に未来はないなと・・・」 (一堂爆笑)

 大いに場が馴染んだところで、真面目な発表へ。

 

地元農泊推進協議会のS会長(右側)とも11年ぶりに再会

 

 「多様化する価値観や市場の中、老若男女とか中高生とか言うてる時点で違う」

 

 「カヌーで川を下りながらワインを嗜む粋なオジサンがいた」

 

 「財布の紐を握っている女性には、イケメンがいちばん効くんじゃないか」

 

 そんな闊達な意見交換から始まった実践者チームのグループ発表には、まさに山を動かすような勢いを感じられた。 このままではいけない、という危機感。

 

 

 後半戦に入る。

 

 

 農泊事業推進にあたって、私は「組織づくり」、「魅力づくり」、「関係づくり」が必要不可欠だと常々感じてきた。その上で障害となっている「課題」や現在の自分たちに「足りないモノ」とか「欠けているコト」を挙げてもらった。それがイコール次の事業につながると思うから。

 しかしながら、民間人というのは面白いというか欲がないというか。行政に、こうして欲しいとかコレが必要といった事を中々言わないものである。

 どちらかといえば、手を差し伸べる側(行政)の方が慣れているようで。向こうのテーブルでは活発な意見が聞こえてくる。

 すぐにタイムアウトとなり、Sさんにお願いして5分間泣きの延長・・・あれ?れ?

 

行政チーム最初の発表は少々物足りなかったが・・・?

 

 発表の段階になると、形勢逆転。

行政チームは「課題」に加え、「解決策」まで論じていてビックリ。

 

 それでも、一番お若い愛知県からの移住者の方による発表で、

「自他をもっと探究する必要がある」ことを再確認できたのだった。

 つまりは視察。

 是非とも九州・大分に来てください、心よりお待ち申し上げております。

 

これからは移住者やUターン者の存在が大きな力になると思う

 

 久しぶりの錦町、KJメソッドは楽しかった。S会長も終わったあと、「短いけど、充実した時間だった」と満足気に笑っていたので安心した。

 

 

雪が積もらないと熊は何処で冬眠するのだろう?素朴な疑問

 

 

 次回は、萩で開催します!

 

 

 

 

 

 でわ!