令和最初のお正月は、やや発作的に宮崎へ行ってきた。

 

 思いついたらすぐさま旅に出るというのは毎度の事だが、今回は年末からずっと何処へ行くべきか悩んでいた。神社へ行くということは最初から決めていたが、何処の神社へ何をしに行くかということでずっと決めかねていた。

 

 <私の理想とする初詣>

 ① 混雑していないこと

 ② 参拝だけでなく何か新しい発見をしてみたい

 ③ 三社といわずもっとガシガシまわりたい

 

 大晦日の晩になっても決まらずにいたのだが、年が明けた途端、「宮崎には仁王があるじゃないか」と突如、天啓が舞い降りた。慌ててネットで所在地とアクセスを調べ、延岡へ向かった。宿は、ビジネスホテルならば結構空いているようなので、現地で予約すればいい。

 

 高速は使わず、走り慣れた326号線を南下する。昔は、元旦といえば恋ケ浦だった。この日もサーフボードを積んだ車を多く見かけたが、自分がまさかこの年になり好き好んで神社仏閣をまわることになろうとは、全く想像できなかった。妙な年のとり方をしたものである。

 

 延岡では、善性寺・台雲寺の石造仁王と大武寺仁王門の木造仁王を見て、早めにホテルへチェックインした。部屋でコンビニ弁当をぱくつきながら、PC内の「仁王」フォルダに新しいフォルダを3つ加えた。四国遍路を終えて以来の作業、久々に心が躍った。

 

 翌日は高千穂から五ヶ瀬をまわり椎葉を経由して日向へ降り、混雑する10号線で西都、佐土原のピンスポットを押さえつつ、宮崎中心街に宿をとった。移動距離が長く七箇所しかまわれなかったのが痛い。夕食は「おぐら本店」のチキン南蛮。何年ぶりだろう?隣に座ったカップルは中国語だった。今や有名店で外国人に会わない日はない。

 

 3日目は、早朝にチェックアウトして宮崎神宮に向かった。宮崎市内は意外にも仁王の密集地域であり、最大の敵は初詣混雑だった。HPを見ると5時30分から開門するようだが、暗すぎては写真が撮れないので8時ピッタリに到着し、入口の境内案内図を見上げた。なんと、仁王像がどこにも記されていないではないか。慌ててスマホから某サイトを検索して、神宮の解説をみたところ、「参道から少し入ったところに立っている」…って、大雑把すぎるだろ。

こんだけ広い境内で参道も各方角からあるというのに。しまった、もう少し入念に調べておけば良かったと後悔したが、今となっては早々に見つけて退散するしかない。次から次へと参拝者が訪れ焦りまくったが、30分位経ってようやく見つけることができた。

 

 仁王像の撮影は、まず正面から行い、阿だけ、吽だけ、そして仁王の視線(後ろから)という基本パターンがある。意外と仁王の目線から眺める風景が良かったりすることが多い。この日も背後にまわってみたところ、映り込む露店商と業者さんやら参拝客が邪魔だったが、試しに一枚撮ってみるとこれが中々の味わいであることに気づいたのである。面白い!

 

露店商の朝は早い

 

 芸実的な写真集を出そうという写真家ならば、緑の木立に囲まれた幻想的な石仏を表現するであろうし、そんな写真ならいつでも撮れるが、露店を見つめる仁王は年間数日しかないはずである。背景はあえてぼかさずに風景モードでシャッターを切りまくった。

 

 その後も団地の中、堤防沿い、幼稚園前など人の暮らしの中にそびえ立つ仁王像を撮ってまわった。まあ、仁王の立場からすると自分たちの方が先にそこにいて、後から人間たちがまわりに集まってきたというのが言い分であろう。南宮崎駅近い住宅街で珍しいものを見つけたので紹介したい。仁王ではないが、太田観音堂の前にある阿吽を模した神像である。

 

観音様を神像が守護するなんて見たことがない

 

 この日は、郊外の朝倉観音のみ行きそびれてしまったが、宮崎市内13箇所、日南市内3カ所をまわって油津駅前のホテルに泊まった。夕食は近所の海鮮居酒屋。まだ、セリが行われていないので鰹は食べれず…残念。

 

 4日目の最終日。別に最後じゃなくても良さそうだったが、年賀状も未確認だったし、このまま行けば都城から小林・えびのと深入りしそうだったので帰ることを前提にさらに南へ下った。

恋ヶ浦には行かなかったが、串間まで来てしまったのである。串間には2対の仁王しかいなかったが、その2対が今回の新境地にどストライクだったので是非とも紹介したい。

 

踏切前で車の一旦停止を見届ける法泉寺の仁王

 

Honda Cars 前で新車の初売りを見つめる前田の仁王

 

 

 結局4日間で32箇所をまわり、うち神社は八社参りという新年であった。もちろん、山中奥深い秘所にあったり、朱色の見事な仁王門にあったりと雰囲気のある仁王像もかなりあったが、街中にあってとけこんでいるようなそうでもないような仁王像の風景も悪くないなと感じた宮崎の旅であった。

 

 遅くなりましたが、

 新年あけましておめでとうございます。

 本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 でわ!