話が長くなりそうなので適当に読んでください
20年近く前、
私はよくアマチュアキックボクシングの試合のお手伝いに参加しておりました。
昼ご飯と夜ご飯が付いてくるので暇つぶしでした。
アマキックは、2分1ラウンドのトーナメント
試合が短く殴り合うので観てて非常に楽しいのです。
試合も1日で100試合近く行われたりするので、次々選手をリングに押し上げないと終わらないので大変でした。
私の手伝いは試合前の選手のグローブを装備させてあげる大役(雑用)でした。
終わった選手のグローブを素早く抜き去り
二試合後の選手の手に装備
汗や血で濡れてたらタオルで拭いたりワセリンを軽く塗ったりして結構忙しかったです。
そこに1人面白いファイターがいました。
宅八郎さんの様なロン毛
今から殴り合いできるの?て感じの体型でした。
名前は玉鹿君
私は選手にグローブを装備させながら玉鹿君の試合を観戦しました。
玉鹿君は、
合気道のような構え、見方によってはヒクソングレイシーのようにも見えます
こ、こいつ何すんのか?と私は固唾を飲んで見守っておりました。
試合開始!!
玉鹿君は、ヒクソンの構えで静かに相手に近寄るが全く攻撃しない
相手選手も攻撃しない
お互い今から柔道でもするのか?と言う位接近してるのに攻撃しない
やがてレフェリーからの口頭注意(怒)
その瞬間
相手選手の大振りの右ストレートが玉鹿君の顔面に直撃!!
玉鹿君はロン毛が乱れながらアゴが浮きました。
玉鹿君はよろけながらもダウンしませんでした。
相手選手は勢いに乗り、喧嘩屋ラッシュ!!
玉鹿君はボコボコに殴られ涙目になりながら一度も攻撃せずに判定負け
玉鹿君はグローブは抜き取られたあと皆の前で号泣
有名なプロ選手を輩出してるジムの会長に泣きながらお説教をされてる姿に私自身の過去を見てるようで辛くなりました。
私はもう玉鹿君は格闘技辞めるだろうと思ってました。
あれから半年後
私は大阪で開催されるアマチュアキックボクシングのお手伝いに行きました。
今回は試合時間2分測って審判に伝える大役(雑用)でした。
そしてその大会には
玉鹿君がいました。
玉鹿君は体格的には全く変化はありませんでしたが、目つきが鋭くなってる気がしました。
いよいよ玉鹿君の試合
私はドキドキしながらタイムキーパー。
玉鹿君
ヒクソングレイシーの構えから
今回はデトロイドスタイルになってました。
試合開始!!
玉鹿君は一気に相手に詰め寄り
いきなりノーモーションのハイキック
高速キックなのですが、相手の顔面に届いていないのでスルーされました。
その後も玉鹿君は、20秒に一度高速ハイキックを繰り出すだけで他の攻撃は無し。
残り時間10秒になりました。
私の仕事は残り時間10秒前と終了を伝える役でしたが、、
玉鹿君の奇跡の逆転を信じて残り時間10秒を伝えずに観戦しました
( ´_ゝ`)ダメダヨ
30秒ほどタイムロス(笑)
ハイキックを繰り出す玉鹿君はバテバテ
そしてデトロイドスタイルの下がった右頬に相手選手の
大振りの右ストレートが直撃
髪が大きく乱れアゴが跳ね上がり
まるで前回の試合の再現でした。
見かねたレフェリーは試合を止め
玉鹿君はKO負け!!
辛そうに退場する玉鹿君
私は罪悪感に苛まれました。
それから
さらに半年後
今回私は順番待ちの選手を呼びに行く大役(雑用)をするためにアマキックを観に行きました。
そこには
また玉鹿君が参戦してました。
この半年の間に胸板はパンプアップされてより
弱々しかったロン毛も
パンプアップされた体とマッチしてワイルドさが滲み出ておりました。
玉鹿君の3戦目
デトロイドスタイルからの甲本ヒロトのようなヘッドバンキング
髪を掻き乱しながら相手に突進
私は新山勝利を見守るターザン後藤のように玉鹿君を見守りました。
玉鹿のジャブ!!
私は初めて彼のパンチを見ました。
軽く猫のような速いジャブそして単発
さらに単発の高速ハイキック
試合は終始玉鹿が押しており
完璧な判定勝ちでした。
玉鹿君はリングでガッツポーズをして大騒ぎ
私も心の中で喜びました。
玉鹿君の二回戦も楽しみにしておりました。
が
玉鹿がいない(怒)
私は玉鹿君の顔を知ってたのでダッシュで探しに行きました。
4分以内、又はKOなどがあれば早くに順番が回ってくるので必死でした。
この選手探しの仕事が一番キツくて、
自身の試合の二試合前にはグローブを装備して並んで待って無いといけないのですが
玉鹿君はトイレの前でボーッと突っ立ってました。
勝利の余韻か?
頭打たれて疲れてた?
三助
『試合はじまりますよ!
急いでリングに戻ってください』
玉鹿君の反応は…
『は?』
国母和宏のように不貞腐れた顔で私に誤りもせずブツブツ言いながらリングに戻って行きました。
玉鹿君はコミ障だったのかも知れませんが、
当時の私はイライラしてしまいました。
そして玉鹿君の2回戦
1回戦は同レベルの選手と当ててくれるのですが、
2回戦はプロ選手も混ざってる事もあり
玉鹿君はボディへの膝蹴りでKO負け
苦しそうにリングを下りる玉鹿君が印象的でした。
その後ですが
私自身アマキックを観に行く機会が無くなり玉鹿君の事なんぞすっかり忘れておりました。
先日ふと彼の事を思い出し、
インターネットで検索しました。
かなり少ない名前なので直ぐに見つかりました。
なんと
彼は
あれから10年以上キックボクシングを続けて
プロで何戦か試合してたみたいです。
( ´_ゝ`)もう引退したみたいよ
写真も載ってましたが、髪は短髪
体もゴツくなって階級も60キロから65キロにアップしたみたいです。
努力してる人は偉いですな。
性格は腹立つけど
私も令和2年からがんばるぞ!!
( ´_ゝ`)オワリ
ちなみに玉鹿君の本名は微秒に違います。