やっと日本語が使えるところにいるので、ダイジェストで自転車旅のことを報告しておきます。

...と言ってもどのくらいさかのぼって書き出せばいいのか悩むところですが、カメラなんかが水没したカリジニ国立公園の後から適当に書きましょう。


水没した電子機器の各種は長期間の乾燥で一部の不都合を残しつつも

通常機能は取り戻すことができました。
 たとえばipodは画面がたまに真っ白になり視認操作が不能になってしまいます。
バッテリーの持ち時間も24時間だったのが4時間ほどに短くなってしまいました。
 ほかの電子機器も全てがバッテリーの不具合を持っていて、

電池がこんなに水に弱いものだと初めて知りました。


 修理の見積もりを取れと保険会社に言われたのですが、

大都市でないと修理サービスを取り扱った電気店がないので手の出しようがありません。



少し内陸に入ったカリジニ国立公園から海沿いへ出て行くと、

それはもう厄介でしょうがない強風が吹き荒れていました。

僕の旅は常に向かい風がつきもので、今更に風に文句を言ってもしょうがないのですが、
それはもう自転車乗りには逃げ場の無い苦しみとなるのです。

 はっきりと言ってしまえば僕は海は嫌いです。

ですが行かなくったっていいと思いながらも、しっかりとシュノーケリングで遊んできました。
 海中で色とりどりのサンゴや魚たちを目にして感激して楽しんだ後、

海から上がるとひどい疲れと気持ちの悪さを感じます。


僕らの祖先が海から来たと言うのは何かの間違いなんじゃないかなんて思ってしまいます。

海の祖先と言えば、世界遺産に登録されている、

今現在僕が住み暮らしている場所にも近いシャークベイと言う海で、
現在地上で目にすることのできる世界最古の生物「ストロマトライト」を見ました。

彼らがこの地球に酸素を大量に送り出してきたのです。
赤いものもあればテレビ等でよく目にした黒い岩のようなものまでたくさんありました。
サンゴにも見えるし、岩ではないことは分かったのですが...岩のように迫力には欠けたものでした。



旅程からは前後しますが、世界最大の一つの岩「マウント オーガスタス」にも登ることができました。
450kmほど内陸への寄り道となる場所にあるので行くのかどうか随分迷ったときもあったのですが、

結局行ってきました。

いままでのどの旅よりも無補給区間が長く続くその道は、予想道りに大変でした。
もちろん道は未舗装路。

夏の炎天下の中で風邪までひいてしまって、倦怠感に頭痛・目まいがあり、苦しい進行でした。

通りかかった車に薬をねだって数日して回復できたのは良かったです。
シーズンオフの人がめったに来ない道で、一日に通り過ぎた車が一台だけだった日もありました。

目的地までは片道7日です。車だったら一日で行けるのに。
ともかくたどり着いたオーガスタスは横に大きい岩で、標高は1105mしかありません。
登山口が約400mなので700mくらいの高低差です。

表面には灌木の緑が茂り、エアーズロックのような岩っぽさはありませんでした。
ですが実際に登ってみれば沢沿いの表面は紅い岩肌のスラブが続く感じの良い、登山として楽しめる山でした。
頂上からの眺めも良く、高い場所でありましたから下界の暑さもそれほどに感じません。

 これで当初からの目標であったオーストラリアでの登山対象の「コジウスコ(今大陸最高所)・エアーズロック・オーガスタス」の3つはめでたく全て登ってしまったわけです。



 同じく当初からの目標であったオーストラリア大陸の東西南北の端を極めることは、先日に最後の最西端STEEP POINTに到着して完成されました。
STEEP(急な・険しい)の名の通りに大変な場所でした。
旅人になるなら今なんだ

 

もう一年以上前になりますが、

最北端のヨーク岬へ行った際に「地獄の砂道」に大変苦しめられたものでしたが、
今回はそのようなサラサラでふっかふっかな砂道が40km以上も続き、

アップダウンの激しく波打つ道で、更に急傾斜の砂山として時に現れるのです。
旅人になるなら今なんだ

自転車はお荷物のほかに何者でもありません。あれが無かったらどんなに楽だった事でしょうか。

苦しくって当たり前。時間がかかって当たり前。
困難な場所の経験だけは豊富な僕はのろのろと進んで行きました。

しかし周りの景色は本当に見事です。
雲がぽっかりと浮かぶ大きな空。砂の半島を横断する、

細かく波打つ緑色の地形。その中に果てなく続くかのようにわずかに見えている砂の道。

そしてこれが道か?と疑ってしまった、砂を削って作られた小さな谷を下り、海に出会ったのです。


旅人になるなら今なんだ  旅人になるなら今なんだ

その海は今までの苦労に見合う、壮大で見事なものでした。

「潮吹き穴」を楽しみにしていたのですが、満潮にならないと見れないのでそれは残念でした。
海沿いはずっと長く崖が続いていて、

崖淵に立って下を見下ろせば青く力強い波が大きな音を立てて崖に打ちつけ、白い泡の余韻を残しています。
高いところは平気なほうの僕なんですが、それはとても恐ろしく感じました。
しかし、あんまり綺麗で惚けたように感激していました。
旅人になるなら今なんだ

それからもずっと砂道との格闘が続いたのですが…
...長くなりそうなので以下は略します。

 旅人になるなら今なんだ
機会が来れば書き足しましょう。



 目的地のエスペランスには3月始めの到着を見込んでいます。 
マウント・オーガスタスと最西端を終えたことで、

オーストラリア大陸を旅する上でこれ以上の自然条件の困難さは無くなりました。
あとは目的地まで寄り道しながら辿り着くだけです。


終わりが見えてくると、自然と日本へ帰国する時の事が頭によぎるようになりました。

…言葉にし難い恐怖感を、少し、覚えています。
思い出していると言ってもいいかもしれません。

正直に、日本へ帰ることが僕にとっていい事だとは思えないのです。
せっかく片付けた地雷をまたセットするようなことはしたくない。


…話がまた飛びそうですね。


こんなこと書かなくてもいいのかもしれませんが、
僕の旅の記録として哲学は必要な要素であると思っているから。


また、続きを書きましょう。


旅人になるなら今なんだ  旅人になるなら今なんだ