山水書房

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守ってくれない懐刀 6本目

「世直しの為」

漠然とした使命は今も体に息ずいている。

しかし、微かに私の中から魂を揺さぶる何かを感じている。

分からない、分からない。

顕現したのはいいが、元の姿に戻れず。不甲斐なさも相まって気持ちは落ちるばかりだ。

部屋の片隅で膝を抱えて目を閉じる。心を落ち着けようとしているのに、何やらガサガサ、ゴソゴソ耳障りな音が苛立たさせる。

「あっれー。確かここにあったはず・・・。あっ、こっちか!」

再びガサガサ、ゴソゴソ。鎮まる気配は一切ない。

「あったー・・・?あれ?違った。」

政春は手に取った布切れを乱雑に積み上げていった。

「さっきから喧しいぞ!何をしておる?」

「ちょっと待ってて下さい。この辺に・・・おおっ!今度こそあったーー!?」

透明の箱に敷き詰められた布切れの中から、黒いジャージを取り出した。

「朱美さん、今から気分転換しに行きますよ。だから、これに着替えて下さい。」

「気分転換などする必要はない。それとこれに着替える理由もない!」

「いつまでも落ち込んでたって仕方ないですよ!本音を言うと、僕がもう無理なんですよ!!」

突如、悲壮な顔つきで政春が陳情しだした。

「突然現れて、腹が減った、元の姿に戻れない、うるさいから静かにしろ、など言われてもう限界なんです!!!」

「なんだと!?」

思わず頭にきたので、政春の胸ぐらに手を伸ばし引き寄せた。

「そして何より!その服装を何とかして下さい!!」

「服装だと?」

指摘されて我が身を確認する。真っ白な着物で胸元にはふくよかな膨らみと肌色の谷間が望めた。

「・・・。」

「み、見てませんよ?」

「おい。貴様。」

「はい、見ました。失礼しました。ごちそうさまでした。」

スパンッ!

手近にあったティッシュ箱で一閃、綺麗に頭を叩かれた。ラッキースケベのお約束だ。

「たわけ者。」

朱美は頬を紅潮させて、明後日の方を向いてしまった。意外とピュアな一面があるみたいだ。

「・・・・着替える。どこで着替えればいい?」

「えっ、あの、脱衣場はないから、そこの引戸を閉めて着替えて下さい。」

ポツリと呟きジャージを手に取り、引戸の向こう側に消えた。

去り際見せた顔は、まだ紅潮していた 。かくして、気分転換に向かう事になった。

つづく
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