こんにちは。

帰国子女受験コンサルタントのタバタです。

 

今日のテーマは

「英検1級ホルダーの小学生は何語で考える?」の第6弾、

 

 TODAY'S
 
早期英語教育
その3

 

です。

 

前回までのブログ

早期英語教育について2:英検1級ホルダーの小学生は何語で考える?その5 | 帰国子女の保護者を静かに応援する元塾講師タバタのブログ (ameblo.jp)

で、5回にわたって、「自分が思考するときに使う言語」

イコール「母語」こそ教育の第一におくべきだ、という説明、

そして、教育の専門家である内田樹さんと平田オリザさんの記事を引用しながら

「早期英語教育の弊害」について説明させていただきました。

 

一言でいえば

「まずは母語だろ!」

ということなのですが、

今日は、「早期英語教育」のプラス、マイナスの両面について、

もと帰国子女として、かつ帰国子女受験指導者(英語と国語)として

考えをまとめておきたいと思います。

 

まず、私は「早期英語教育」はやり方さえ間違えなければ

大いに進めるべきだと思います。

 

 

  タバタの帰国子女としての経験

 

私自身の経験を申し上げますと、

8歳~15歳の頃にオーストラリアとマレーシアに住んでいたおかげで、

(現地校に通ったのは半年未満なのですが、)

英語の基礎が身に付いたと思います。

 

英語の基礎、それは聞き取り力発音

そして外国人とコミュニケーションを取れたという成功体験でしょうか。

 

 

臨界期と呼ばれる仮説があります。

 

あくまでも仮説なのですが、

1967年に言語学者エリック・レネバーグによって提唱されたこの説は、

脳の発達と共に言語習得の能力が減少することを示唆しています。

 

レネバーグは、思春期までが言語習得において重要な期間であり、

その後は脳の可塑性が低下するため、

言語を自然に身につける能力が大幅に制限されると説明しています。

 

実際の研究では、母語や第二言語の習得において、

5歳から12歳頃がこの臨界期の範囲にあたるとされます。

特に音声や発音において(LとRの違いが有名ですね)、

幼少期に学習した言語の方が成人後に学ぶよりも

母語話者に近い発音を身につけやすいことが示されています。

 

一方で、臨界期の存在には議論があり、

言語習得は大人になってからも可能であるという意見もあります。

ただし、大人が新しい言語を学ぶ際には、

文法や語彙の理解が中心となり、

発音や直感的な言語運用が難しくなる傾向があることは否定できないでしょう。

 

 

  タバタの受験指導者(英語・国語)としての経験

 

ロンドンでは2年、ニューヨークでは8年、

国内では10年間、合計20年間、

合計で数100人の帰国生・海外生・インター生を指導してきました。

 

そして、保護者とは1000件以上の学習相談、受験相談をさせていただきました。

 

子どもたちの様子、そしてご家庭での方針をヒアリングして、

私なりに出した答えは、

「早期英語教育」は、「中学受験勉強」と同じで、

「向き」「不向き」があり、

本人の努力と家族のサポート、環境がそろっていれば素晴らしい成果につながるし、

本人の努力も家族のサポートも環境のどれかが欠けていれば「無駄」だ

ということです。

 

ロンドンやニューヨークに住んで現地校に通っていれば、

子どもはみんな楽に英検1級が取れると思ったら大間違いです。

英米語圏の現地校に通う子供の成功例は、

本人の努力家族のサポート現地校という環境がそろったから

と考えるべきです。

 

だから、早期英語教育を受ければ

みんな英検1級が取れるわけではないのです。

下手に手を出すと、その分「何か」を失う可能性が高いのです。

 

そして、英語なんて、ただの「学習項目」の一つです。

その学習の出来、不出来は、善悪の問題ではありません。

 

考えてみてください。

 

「日本で生まれ育った純ジャパならば、誰もが『国語』ができますか?」

答えは「その人次第」です。

 

「『国語』が出来なければ人生はうまくいきませんか?」

答えは「その人次第」です。

 

「早期から英語を習えば、誰もが英語ができるようになりますか?」

答えは「その人次第」です。

 

「英語が出来なければ人生はうまくいきませんか?」

答えは「その人次第」です。

 

 

通訳であり、英語教育学者でもある鳥飼玖美子さんは、

著書やインタビューで次の趣旨のことを何度もおっしゃっています。

 

「早期英語教育が歪んでいるのは

『英語ビジネス』

『親のコンプレックス』

のせいではないか」

 

なかなか重たい言葉ですよね。

ただ、実は、アンチテーゼもすぐに言えます。

英語ビジネスのおかげで成功者が増えているのは間違いない。」

親のコンプレックスがあるおかげで子どもの可能性が広がるケースが多い。」

 

皆さんはどう思いますか。

鳥飼さんは、小学生の英語は発音を重点的に、という提案をされています。

私も大賛成です。

 

 

最後に、圧倒的な英語力を持っている日本人2人の映像を紹介します。

 

1人目は、帰国子女で元SONY社長の平井一夫氏。

(米国からの帰国子女。国内のインターナショナルスクールから国際基督教大学)

 

2人目は、資料を見る限りでは帰国子女ではない、日銀総裁の植田和夫氏。

(筑駒⇒東大経済学部⇒東大理学部⇒MIT)←スゲエ!

 

■平井ソニーCEO(2018年当時)の英語

https://www.youtube.com/watch?v=-y0HpikS-uk

 

■植田日銀総裁の英語

https://www.youtube.com/watch?v=VjwJ2gtiIVw&t=36s

 

いかがでしょうか。

平井氏の映像を見て、

「やっぱり帰国子女はすごいなあ」

と思うかもしれません。

 

いえいえ、帰国子女でもここまで行ける人はほとんどいませんw

 

植田氏も、また別格の英語ですね。

 

純ジャパでもここまでできるんだ

という例としては

突き抜けすぎているかもしれませんが、

それでも、やはり、早期英語教育とはまったく別の次元で、

英語力は身に着けられるという証拠にはなっていると思います。

 

(実は植田氏は帰国子女だった、もしくは早期英語教育を受けていた、

という記事がありましたらご紹介ください。)

 

2024年9月5日

タバタヤスシ