こんにちは。

帰国子女教育コンサルタントのタバタです。
 

今日もFAQにお答えします!

 

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小6の娘、英検準1級ホルダーです。

5月の1級の一次試験では少しの差で不合格だったので、10月の合格を目指してこの夏も頑張っています。

 

さて、娘が第一志望にしている英語1科目の帰国生入試で、英検1級ホルダーでも不合格になってしまうという意味が分かりません。

 

タバタ先生の話では、そういう中学では英検準1級ホルダーが受かるケースもある、とのことでしたが、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。

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英検1級を取ることの大変さは英語講師である私には身に染みて理解できているつもりです。
 

(実はタバタはTOEFLiBT・100点、TOEIC950点、IELTS・C1なのですが英検は準1級です。

タバタの英検受験歴については別の機会に・・・)

 

学生でも社会人でも、「英語力」を判断するのに日本で一番使われているのは紛れもなく英検だと思われます。


親子の会話でも、

「パパが英検準1級を取れたのは社会人になってからだなあ」

とか

「ママが通っていた高校では3年生になるまでに英検2級を取ろうって全校生徒が頑張ってたのよ」

などというご両親の話を聞き、お子様は

「じゃあ小5で英検準1級を取った私ってスゴイ?」

と鼻高々になり、ご両親もそんなわが子の逞しさに明るい未来を確信するのはまったくもって当然のことです。

 

余談ですが、帰国生の中学受験で英語を使うならば「英検2級」がスタートとよく言われます。

 

タバタは、ニューヨークとロンドンで9年半、現地校生の受験指導にも携わっておりました。

その経験から、2年以上の現地校通学ならば小5、小6生の英検取得の平均は2級~準1級という感覚を持っております。

もちろん、小4で1級まで持っているお子様もいました。

英検協会のホームページでは英検2級を

「(前略)高校卒業程度とされています。

 社会生活に必要な英語を理解し、使用できることが求められます。

(中略)海外留学や社会人の一般的な英語力の条件として幅広く適用されます。」

と定義しています。

 

小学生なのに「海外留学や社会人の一般的な英語力の条件」??

 

そうなのです。

 

日本では、小学校で英語が正式科目となったとはいえ、よくできる公立小学校の6年生が4級です。


同じく公立中3年生が3級~準2級です。


こう考えれば、小6で2級はおろか準1級や1級まで取得するなんて「超人」レベルと言えましょう。

 

帰国生受け入れに参入したばかりのとある私立中学の入試担当の先生がおっしゃっていたのは、

「うちの場合は英検2級を持っていれば無条件で合格させたい、というのが本音です」

とのことでした。

 

さらに、

「日本で生まれ育ったいわゆる純ジャパの生徒だったら、高校3年生までに2級を取らせるのがどれだけ大変なことか」

 

とのことです。

 

大学共通テストの目安が英検2級なので、当然と言えば当然ですね。

 

余談が脱線し過ぎました。

 

1級でも不合格になってしまう、その英語入試の内容の話でした。

 

タバタなりの分析では、入試には次のような違いが3つあるかと思います。

 

1.文法問題がある

2.フィクションあるいは詩の読解がある

3.エッセイや面接で自己アピールが必要である

 

中学が発表している過去問題を見る限りでは1.2.は明らかです。

 

3.は、タバタが中学の入試担当者から伺った話や、これまで合格してきた受験生の分析をもとにそれぞれご説明いたします。

 

1.文法問題

英検は準1級でも1級でも文法問題は出題されません。

 

「通じる英語」が勝負なのですね。

 

もちろん英作文で文法のミスがあると減点なのですが、帰国生・海外生は全然気にせずに読解・語彙・リスニングで合格点まで押し切れてしまう印象です。

 

だとすると、文法問題が出題される難関中学では、英検1級ホルダーでも特別な準備が必要なわけです。

 

2.フィクション・詩の読解

 

こちらも、英検では出題されない分野です。

政治、経済、文化、遺伝子工学といった「大人の教養」が英検準1級・1級では頻出です。

 

小学生がよくこんな文章を読解できるものだと感嘆しますが、フィクションと詩の読解には全く手が出ない受験生が結構いるものです。

 

 

3.エッセイ・面接

 

こちらは、英検1級ホルダーならば十分クリアしているはずなのですが、どうも得点基準が大きく違うようなのですね。

 

エッセイタイトルは英検とほとんど変わらない時もあるのです。

 

タバタの分析では、書かれているコンテンツに、受験生本人の人間力や個性、海外で得られた経験値が書かれていないと高得点が狙えないのではないか、と考えています。

 

例えば、「平和実現のために核兵器の使用は有効か」というような問いに、英検ではYESでもNOでも、根拠と説明力が備わっていれば大丈夫なのです。

 

しかし、入試に関しては違うとみています。

 

将来の日本を、世界を背負っていくべき人物が「核兵器を使って平和を実現させよう」という考えを表明した場合、学校が求める人材像から外れているのではないか、という気がしています。

 

なんでもかんでもポリコレ(Politically Correct)で片付けてはいけないと思いますが、ポリコレ的価値観くらいは持っていないと精神的に幼いとみなされるのでは、というのがタバタ的考察です。

 

面接も同様です。いくら流麗な英会話力をもってしても、そのコンテンツが幼稚だと、「本校にふさわしい人材」とみなされないのではないでしょうか。

 

逆に、私のこれまで指導してきた中に、英検は準1級までしか受からなかったけれども、エッセイや面接で、本人の「情熱」や「海外経験」のアピールが成功してそのような難関中学に見事合格した生徒もいらっしゃるのです。

 

以上が、タバタが考える「英検1級ホルダーでも落ちてしまう、しかし準1級ホルダーが受かることもある」中学入試の分析です。

ご参考になれば幸いです。

 

      ◆

 

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2024年8月3日

タバタヤスシ