君は、捕われていたのか。 
 
今まで知らずにいたよ。 
すまなかった。 
 
 
しかし、この景色の一部に小さく映る、穏やかで伸びやかな君の佇まいもまた、一段と美しいね。 
 
・・・・・・
 
大きな建造物の中で、ガラス越しに陽光を浴びながら生きている、大きな木がある。 
その木は、私がいつも歩く大通りから、広場を挟んだ遠い所にいる。通り沿いの建物が壊されたため、最近になってみえるようになったのだ。 
 
遠景で観ると、まるで、ガラス張りの格子の中で捕われているかのようだ。 
 
 
そこに君が生えていることは、以前から知っていた。 
なぜなら、君がいる建物は病院で、その病院は私のアルバイト先だからだ。 
早朝、出勤して自動ドアをくぐると、いつも君の鮮やかな緑が出迎えてくれたね。 
 
いつも君は微笑んでいるようにみえるよ、近くにいても、ガラス越しでもね。 
これからもその美しさで、“生きる”の感触をそっと伝えてね。