石川県に位置するある洋館は、その壮大な外観とは裏腹に、長年にわたり閉ざされた秘密を多く抱えているという噂が絶えなかった。

地元民の間では語り草となっており、特にその地下に存在するとされる研究室には様々な憶測が飛び交っていた。

そんな場所に目をつけたのが、冒険心旺盛なユーチューバーの二人組だった。彼らはこの洋館の謎を解明しようと、実況生配信を通じてその一部始終を世界に向けて公開することを決意した。

 

 

配信の開始と同時に、視聴者からは様々な反応が寄せられた。

中には洋館への侵入に対する懸念や地主からの許可を得ているかどうかを問う声もあれば、彼らの冒険を応援するコメントも多く見られた。

しかし、配信者たちはそういった声に耳を貸すことなく、洋館内を探索し始めた。

洋館内は、長い年月を経たことで多くの調度品や絵画が床に落ち朽ち果てており、その様子は配信を通じて視聴者にも伝わっていた。

 

 

不気味さを増す中、彼らは厨房に入り、そこでついに地下へと続く階段を発見した。

懐中電灯の光だけが頼りの中、彼らは地下への探索を試みるが、途中で浸水に遭遇し、最下層に到達することは叶わなかった。

その旨を配信者が説明すると、コメント欄は一変し、「逃げろ」「危険だ」といった脱出を促す声で埋まった。

配信者には視聴者の反応が理解できず、ただただ状況とコメント内容が一致しないことに戸惑うばかりだった。

 

 

しかし、次第にその不気味さに気づき、彼らは急いで洋館からの脱出を図った。

洋館の玄関で彼らを待ち構えていたのは、パトカーと警察だった。

不法侵入の容疑で捕まった彼らに対し、警察の一人が配信を見て駆けつけたことを明かした。

その警官はなんと彼らのファンだったのだ。

配信者は捕まったことよりも、警察にもファンがいたことに驚愕し、また彼らに向けられた警告「もう二度と曰くのある場所へ行かないこと」を真摯に受け止めた。

 

しかし、警察はさらに衝撃的な事実を彼らに告げる。

「地下階段の奥には多くの人がいた」というのだ。

その後、取調室での動画チェックにより、地下階段が実際には浸水していなかったことが明らかになり、配信者はショックを受ける。

人が本当の恐怖に直面した時、拒否反応や防衛本能が働き、現実を歪めてしまうことがあるのかもしれない。

配信者たちの冒険は、ただの遊びではなく、未知の恐怖と直接向き合った結果だったのだ。