山の奥深く、一行は地図とコンパスを頼りに進んでいた。
旅の計画は完璧で、地形も熟知しているはずだった。
しかし、彼らが辿り着いたのは予定とは異なる未知の道。
地図にはない標識が立ち、道も地図上に記されたものとは全く異なるものだった。
最初は単なる間違いかと思われたが、コンパスと地図を何度照らし合わせても、彼らの位置は確かに正しいはずのルート上にあった。
時間が経つにつれ、空は暗くなり、森はさらに密になっていった。
一行は不安に駆られ始める。
彼らが見たこともない種類の植物が道沿いに生い茂り、奇妙な鳥の鳴き声が耳についた。
それはまるで異世界に足を踏み入れたかのような感覚だった。
進むにつれ、さらに奇妙なことに気づく。
標識は古びているにもかかわらず、明らかに新しく設置された跡があった。
そして、その標識は彼らをさらに深い森へと誘うかのように配置されていた。
ある標識には、まるで警告するかのように
「立ち入り禁止」
と書かれていたが、その文字はいびつで、不気味な雰囲気を漂わせていた。
夜は深まり、一行は不安と恐怖で身動きが取れなくなる。
火を起こし、野営することにしたが、夜通し奇妙な音が絶えず、眠ることはほとんど不可能だった。
風が吹くたび、木々は嘆くような声を上げ、時折、彼らのテントの周りを何かがうろつく音が聞こえた。
翌朝、再び道を探し始めたが、今度は彼らの足跡すら消えていた。
地図と現実の風景が一致しないこの場所で、彼らは完全に方向感覚を失ってしまった。
そして、その時、彼らは理解した。
この山は彼らを迷わせ、自らの深淵へと引き込もうとしているのだ。
日が経つにつれ、一行は食料や水も尽きかけ、絶望的な状況に陥った。
しかし、奇跡的に、彼らは山を抜ける古い獣道を見つけた。
その道は彼らを山から導き出し、最終的には文明のある場所へと戻ることができた。
しかし、彼らが体験したことは誰も信じてくれなかった。
地図に記されたルートを外れ、山の深くに潜む不可解な真実と、途方もない恐怖を。