私が初めて東京に行ったころ、1980年代の半ば、高級住宅地で有名な田園調布のあたりで、友人のマンションに居候していました。

そのころは、とにかく貧乏でした。
無謀にも当時ミュージシャンを目指していた私に、あるバンドからメンバー加入のお誘いを受け、気合十分でボストンバッグひとつだけ持って、上京したんです。

ところが、私の到着と同時に仲間割れが起こり、バンドは解散、一度もそろって演奏することもなく分裂してしまいました。(笑)

その後、いろんなバンドに加入して、音楽活動することになるのですが、とにかくお金がなくて困りました。
音楽関係のバイトをしながら生活したんですが、コンサートスタッフとして機材の搬入や、会場警備などの仕事を主にしていたときの話です。

日給4000円で昼食付きというその仕事は、大変時間が長く、朝9時から夜10時とかです。
しかも、コンサート終了後は打ち上げパーティーに誘われます。

当時、ミュージシャンとコネを作りたい私は、その打ち上げにも積極的に参加していました。
大体、会費は3000円とか、割り勘で払いました。
帰りにタバコ買って、電車に乗って、家に帰ると、さっき、もらったはずの日給4000円は、すでに残っていません(笑)

仕事も不定期で、あるとき、1週間ほど、休みになりました。
お金が底をつき、4日目で、お米もなくなりました。
居候先の友人は、写真家で、当時遠方へ出張に出て家には私一人でした。

食べ物も、お金もなくなりましたが、とりあえず、4日後には仕事があるので、3日間水だけで過ごした事があります。(あ~思い出してきた 恥ずかしいやら 懐かしいやら)
3日目には、あまり動く気力もなくなり、ほとんど寝ていました。

絶食4日目の朝、居候先の友人が帰宅して、私を見るなり驚いて、「いったい、なんでそんなにやつれてるんだ!」と驚きました。
病気かと思ったみたいです。

忘れもしませんが、友人から500円を受け取って、ニコマートというコンビニでチキンカツ弁当を買ってきて、久しぶりに食事をしました。
なんとも、おいしくて嬉しかったです。

その友人宅には、漫画がたくさん置いてあり、特に、まだ連載が始まって間もない、「美味しんぼ」はグルメ漫画ブームの火付け役になり、今も連載中の大長編ですが、そこに出てくる、料理の数々にあこがれて、
美食やグルメという言葉も知りました。

もう、20年以上も連載されているので、マンネリ化していますが、当時下手だった絵も今では抜群に上手くなり、より料理がおいしそうに見えます。

知る人ぞ知る、主人公の父親、美食倶楽部の主宰、陶芸家、書家でもある、海原雄山は、北大路魯山人をモデルにした強烈なキャラクターです。

途中から、温厚な正確に転じ、今では、誰もが尊敬する、漫画の世界なのに、私も彼の深さには感動させられてしまうほどの、大人物になっています。
そして北大路魯山人の作品までも手に入れたいと思うようになりました。

原作者の、偏見に近い考えや、美食といいながら、粗食や、ゲテモノまで食文化の隅々まで追求している大変、勉強にもなる漫画で今も愛読(立ち読みも含む 笑)しています。

あの、貧乏で、太っていなかったころの私を思い出したとき、「美味しんぼ」も一緒によみがえります。
Youtubeで、アニメ版も見ていましたが、爆笑の動画を見つけました。
実は、数ヶ月前に見つけたのですが、先日、久々に見ると、やっぱり、面白いので、ご紹介します。

音声が多少わかりにくいですが、よく聞いてください。
美味しんぼファンなら、絶対面白いですよ。
初期の、怖い海原雄山が、最高です。