五つ葉のクローバー
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第一話 堕落

今から10年前の2049年冬、北海道に隕石が落下した。
「おい、なんだべさあれ?」
「ん?おぉ!あのあけーのか!?」
「んだんだ!」
2012年から、日本経済は好景気を迎え多くの農業や他の企業が盛んになり、
この地 北海道の酪農も未だかつてない全盛期を迎えていた。
その矢先の出来事だった。




「おい!あれおめーんどこの牛舎へ行くんでねぇが?」
「…まさがなぁ…。」
20半ばの若い二人の男がその牛舎へ走り出す。
「んぁっ!今落ちただ!!」
「…燃えちょる!燃えちょる!!」
瞬く間に火は広がり、屋根が焼け落ち、牛の悲鳴が燃え盛る牛舎に響き渡る。
「おらの牛が…おらの牛がぁ…」
男は泣いてしまった。崩れていく光景を見ていると、一頭だけが平然と生きている。
それもなぜか妙に大きい。
その牛が飼い主の男に向かって歩いてきたが、泣いていた飼い主は異変にすぐ気がついた。
「あ、あいつ、額からでげぇシロツメクサ生やしてんぞ!?」
「ほ、ほんとだ!お、おい…奴の背中見でみろ!」
「…さ、さっきの隕石?」
「みてぇだな…!」
その牛の額のシロツメクサ、クローバーの葉は5枚で1枚が真っ青の色をしている。
そして瞬時に目が赤く光りだした。
牛は口を「グパッ」という音とともに大きく開き、血を撒き散らした。
背中にあった隕石が一瞬で体内に入り込み、牛の後ろ足が急速に発達し、
二足歩行へとなった。みるみるうちに人間のような姿勢をするようになり、
さらには腕が体内から突き出て4本の腕へとなった。
「け、警察へ連絡…!し、しに行くだ!!」
「おらも行く!」
二人は逃げるようにして牛舎を去った。


           ■


警察署へ行き、連絡後しばらくして再び牛舎へ着いた。
この時代の警察の使用兵器は格段に強靭になり、チッ素を凍らせて
粒子状にし、収束光でまとめるレーザービームを主要としていた。
このころは収束光の精度が悪く、とどめることができなかったため
レーザーソードはできず、そしてレーザービームでさえ実践で使うことはあまり多くなかった。
「んで、この牛舎?本当に?」
「えぇ、見てください!ほら、あ、あそこに…!!」
「…これは一大事だ…!すぐに消防を呼べ!できるなら国防省にも通知を!」
その警察の部下が短く敬礼をした後、連絡をした。
「昔のマンガみてーな武器が使えるなんてなぁ。妄想だけで遊んでた餓鬼の
頃を思い出すぜ…。」
見た目はいかつい銃なのだが、威力が強力すぎるほどだ。
ここ数年の経済の発展に伴い、日本の技術力も格段にあがり世界で1位2位を
争うほどまで進化を遂げた。
そして警察隊員が牛の怪物に向かって銃を構えた。
「少し離れててください。」
隣の二人の若い酪農家は身をかがめるようにして体勢を低くした。
引き金を引いた瞬間、音もないままレーザーが出て、牛人の心臓部分を貫通させた。
「ヴァ…ウヴァァァァァアア!!!」
牛人は両膝をついて痛がる。が、血も何も出てこない。
「…やったのか?」
すると再び音もしない間に、酪農家の隣にいた警察の『身体』が倒れた。
そしてその切断部分は首で、動脈も切り裂いたらしく血が吹き出ている。
数秒後、牛の飼い主の目の前に警察官の首から上が落ちてきた。
「う、うう…うわああああ!!!!」
牛人は首をコキコキと鳴らし、腕を広げた。
額のクローバーの葉が回転しはじめ、一瞬で巨大化した。
それに併発するように牛人の周りに魔方陣のようなものが現れ、
牛人が巨大化した。300mは軽く超えている。最後に、クローバーの横から角が生えた。
牛人は脳も大きくなったらしく、知能が格段にあがっていた。
「…この地球、この世界に警告だ!今こそ世界をひとつにし、私を倒してみろ!!
弱い貴様等人間共は『協力』すれば強くなれるのだろう!!?ならば私を倒せるだろう!
それまで私は容赦しない!!これは警告であり、この世界がしてきたことの復讐だ!!!」

 

               ■


国防省に通知が行ってまもなくヘリが駆けつけ、その牛人の巨大な姿と声を全世界へ発信した。
牛人は日本語、英語、フランス語、中国語、等、世界中の言葉で同じ意味を伝えた。
まもなく、全人類をかけた戦いが始まろうとしていた。