介護の現場で、こんな場面を見たことはありませんか。
利用者さんがテレビをぼんやり眺めながら、何も話さずに時間が過ぎていく。
レクの時間以外は、ただ座っているだけ。
「何かしてあげたい。でも手が回らない。」
そう感じているスタッフさんは、きっと多いと思います。
私自身、作業療法士として全国500か所以上の施設を訪れる中で、何度もその光景を見てきました。
懐かしいものを見ると、なぜ脳が動くのか
「回想法」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
昔の写真や懐かしい道具を見たり、当時の出来事を話したりすることで、脳が活性化し、気持ちが安定していく。
認知症ケアの現場で長年使われてきた、非薬物療法のひとつです。
難しい話をすると長くなるのですが、シンプルに言うとこういうことです。
「懐かしい」という感情は、記憶と感情を同時に動かす。
頭で答えを考えるだけの脳トレとは違い、回想法は「あの頃」の記憶と感情を引き出します。昔よく使っていた道具、子どもの頃に見ていたテレビ、流行っていた歌。それらを見た瞬間に、表情が変わる利用者さんをたくさん見てきました。

でも、回想法を「ちゃんとやる」のは大変
回想法の効果はわかっている。でも現場ではなかなかできない理由もよくわかっています。
昔の写真や道具を集めるのが大変。個人によって「懐かしい時代」が違う。進行できるスタッフのスキルが必要。準備に時間がかかって続かない。
そこで考えました。
「動画を流すだけで、自然と回想が始まる」仕組みができないか。
作りました。昭和懐かしクイズ動画。
黒電話、ちゃぶ台、洗濯板、紙芝居、ブラウン管テレビ——。
昭和の懐かしい物品がクイズ形式で登場します。
「これ、何に使うものでしょう?」「この値段、今はいくらでしょう?」。
答えを考えながら、自然と「そういえば昔…」が始まる。
スタッフさんが何も準備しなくても、動画を流すだけで利用者さんの口が動き出す。
そういう設計にしました。
監修しているのは作業療法士の私、石田竜生です。
回想法の考え方を踏まえながら、安心して施設でお使いいただける内容になっています。
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