祝・建築学会賞作品賞受賞!~「武蔵野プレイス」 | 建築家 田口知子の日常をつづったブログ

祝・建築学会賞作品賞受賞!~「武蔵野プレイス」

自分がかつて勤めていた長谷川事務所時代の先輩である、比嘉武彦さんと川原田康子さんのユニットが設計された、「武蔵野プレイス」が今年の学会賞の作品賞を受賞されました!本当におめでとうございます。うれしくてブログに書いてしまいます。



 この建築は公共建築の図書館でありながら、館の中央においしいごはんを提供するカフェがあり、そこで図書館の本が読めるという企画で空間を構成されています。
 この建物は震災直前、2011年1月に竣工しましたが、もともとのプロポーザルコンペ2004年。さまざまな経緯を経て竣工まで7年の月日を要した建築でその経緯の大変さは話を聞いていました。さまざまな状況の変化、要件の変化に応じつつ、完成させ、こうして日本の建築の最高峰である賞を受賞されたお二人に、尊敬と感動を覚えます。

 武蔵野駅前にあって、今では年間来場者160万人。人があふれていて賑わいがあるのに、図書館らしい落ち着きもあり、さまざまな人たちが思い思いに時間を過ごしている中に身を置く心地よさを発見する建築です。それは、柔らかい床や丸みのある天井のコーナー、モダンでシャープなディテールが共存しつつ、可愛らしいデザインもある、バランスの良さ、すべての箇所に濃密に意図がこめられたデザインのディテールがありました。真ん中の大きな吹き抜けにカフェがあり、館全体に食器の音やおしゃべりが柔らかく反射するざわめきの空間が空間の豊かを増しています。

ソフトとハードの見事に融合した、人に愛される公共建築の傑作だと思います。
公共建築が「ハコモノ」と非難されて久しく、建築を作ることそのものに反感を感じるような、昨今の厳しい状況の中で、建築の力が、人のにぎわいを生み出し、来場者に心地よい空間を提供する、その可能性と奥行を感じることができる建築だと思います。

 人を集め、愛される建築、訪れた人を幸せにする建築、そのような建築を、自分もいつか実現したいです。(*^。^*)