信仰心というものが昔からあったわけではない。
けれど、
人は不幸が訪れると何かに頼ってしまうものらしい。
こんなクズ人間の僕でさえいつしか図々しくも祈るようになった。
しかし、
どんなに祈ってみたって、
それらの大半は決して叶うことはないのだ。
僕は生まれて来てはいけなかった。
かりに生まれてしまったとしても、
人とかかわりを持つべきではなかったのだ。
誰かを好きになっても、
誰かと触れ合うことがあったとしても、
決して手に入れてはいけなかった。
そうすれば、
誰も傷つけずに済んだ。
誰も不幸にせずに済んだのだ。
度重なる不幸(自業自得も多分にあるのだが)は、
実はもうとっくに忘れかけていた笑顔も完全に奪い去り、
言葉さえも僕は失った。
毎日沈黙の中で、
尚も誰かを不幸にしながら生きるしかないのは罪だ。
罪を犯したまま生きることが許されていいはずがない。
そして僕はまた祈るようになった。
今度は、自分を消し去ってくれと…