音のひとつひとつに優しさと喜びと自信が満ちている。ハンコックも、まわりのミュージシャンたちも若く、失うべきものはまだ何もなかった。未来は彼らの前に大きく開けていた
村上春樹(ポートレイト・イン・ジャズ)
村上春樹(ポートレイト・イン・ジャズ)
『処女航海』は、しかし当時のマイルスやブルーノートの諸作においてさえまだ目新しかったトータルな流れをそなえたコンセプト・アルバムとして構成されている。すなわち新しいヨットで海に出たが(Maiden Voyage)、台風に遭遇(The eye of the Hurricane)、自然界において自分がちっぽけな存在(ややこじつけながらLittle One)であることを認識、それでも生き延びることができたのはまさしく適者生存(Survival of the Fittest)にちがいない、「あぁよかったよかった。」と最後は穏やかな海でイルカがダンスしている光景(Dolphine Dance)を目にして終わる。
中山康樹
中山康樹
こんばんは 今夜の1枚 ハービー・ハンコック 『処女航海』
当時の帝王 マイルス・デイヴィスのコンボのリズム隊 次代を担う新主流派による青春譜
僕はハービー・ハンコックはポスト ビル・エヴァンス 最高のピアニストだと思っています
でも彼はかたくなに拒否 自分は音楽家であると でも今聴きなおしてみてなるほど
フロントのフレディー・ハバード ジョージ・コールマンの奔放なプレイ でも意外なほど対称的に
冷静に静かにリズムを刻むリズムセクション でも思いは熱くて それが伝わってくる
処女航海に臨む若者たちの 思いつめた静かな闘志というか覇気というか
だから個々の楽曲の素晴らしさはもちろん一種の叙事詩でありトータル・ミュージック だと思います
ハービー・ハンコック 『処女航海』
Herbie Hancock / Maiden Voyage
0:00 1. Maiden Voyage
7:54 2. The Eye Of The Hurricane
13:57 3. Little One
22:47 4. Survival Of The Fittest
32:55 5. Dolphine Dance
7:54 2. The Eye Of The Hurricane
13:57 3. Little One
22:47 4. Survival Of The Fittest
32:55 5. Dolphine Dance
Freddie Hubbard (tp)
George Coleman (ts)
Herbie Hancock (p)
Ron Carter (b)
Tony Williams (ds)