伝統的なスタイルとフリー・ジャズが交錯する。コルトレーンが次なる一歩を踏み出した姿を捉えた作品。フリー・ジャズと正面から対峙したタイトル曲は、インパルスの諸作中でも群を抜く出来栄え。 <パーソネル> 1: ジョン・コルトレーン、ファラオ・サンダース (ts)、ドナルド・ギャレット (bcl, b)、マッコイ・タイナー (p)、ジミー・ギャリソン (b)、エルヴィン・ジョーンズ (ds)、ジュノ・ルイス (per, vo)、2, 3: ジョン・コルトレーン (ts)、マッコイ・タイナー (p)、ジミー・ギャリソン (b)、エルヴィン・ジョーンズ (ds) 1965年6月10日、16日、10月14日、ニュージャージー、ヴァン・ゲルダー・スタジオにて録音
レコーディングの順番では「メディテーション」の前だが、発売順ではメディテーションの後となり、コルトレーン存命中にリリースされた最後のアルバムとなった。
レコーディングが65年の6月と10月、発売が67年の1月であるのだから随分寝かせたことになる。タイトル・トラックでA面全てを占める「クル・セ・ママ」は10月にロス・アンジェルスでファラオ・サンダーズ、ジュノ・ルイス(vo, per)らを加え比較的大きな編成で録音されている。他2曲が65年の6月のレギュラー・カルテット+ヴァンゲルダー・スタジオものだ。 (ノート)
ジョン・コルトレーン『クル・セ・ママ』
John Coltrane - Kulu Sé Mama
例によってナット・ヘントフのライナーによると、ロスに住むジュノ・ルイスに、親しい友人の紹介でコルトレーンが会い、当地での「クル・セ・ママ」セッションとなったらしい。ジュノ・ルイスはもともとニューオリンズ出身の詩人でパーカッショニスト。ウォーター・ドラムやジュオルル、ドゥームダカなどを演奏し、アフロ・アメリカン・アート・センターの設立に関わった人物とのことだ。
「クル・セ・ママ」はジュノ・ルイス作とクレジットされており、ジャケットの見開き中に掲載されている、彼の書いたオリジナル・テキストをもとに詩が成立しているらしい。(以下にテキストあります)
https://blackmusicmonthly.wordpress.com/2016/11/04/kulu-se-mama/