適当に破談にして貰おうと

思っていたのに、ヲタクの役目は

推しをひたすら推し続ける事!

ひと目で惹かれてしまったウンスだった。


「ヨン王子?国王陛下にお話しましたが、

私は、家を出た瞬間除名され、王女では

ないのです。何故?私なのですか?」


「全くあの国王がやりそうな事だ!

やはり、先に潰すべきだった!

ウンス王女でなければ、駄目なのです!」


「それでだ、私は、父上と母上が

亡くなってから、結婚相手も

見つける暇もなかった!結婚と同時に

この国をサンダー大帝国にして、

初代皇帝には、ヨン!お前がなれ!」


「えっ?兄上?騎士団は?」


「うるさい連中は、お前が黙らせただろ?

お前は騎士団長を続け、そして、

サンダー大帝国の皇帝だ!

ウンス王女は、王女ではないと、

正直に話してくれたが、本当にそうなる!

初代皇后になるのだから!」


「はい?!」


「ウンス様は、相応しいかと存じあげます。

ウンス様の秘密を私は、知ってます!」


「エ、エルナ!推しの話?」


「おし?」


「違いますよ!ウンス様は、覚醒して

いない王女と言われ疎まれ続けて

来ましたが、実は、誰よりも凄いのです!」


「確かに美しい!」


「違います!ウンス様は、時空間魔法

を使え、何処にでも行けます。そして

今は、癒やしの魔法と国を守る防御魔法

の完成が間近です!まだまだ沢山の

魔法も使えます!それと…本人は、

気付いていませんが、願った事が

本当に叶うのです。以前、私の弟が

怪我して、薬代にも困っている時、

道端にお金でも落ちてれば良いのにと

ポツリとウンス様が言ったのですが、

本当に道端に金貨が落ちていたのです!

それだけではありません。雨が続いた時、

明日は、晴れるといいなぁと言うと、

本当に晴れたのです。他にも沢山

あります!それに、家を出た時に、

散々な事を言われ、支度金まで横取り

されたので、向こうに不幸になるわ!と

言ったので、きっと、そうなると

思ってます!それから…ウンス様は、

医学の心得もあります!ただ、沢山の

力を使い過ぎると三日は、寝込みます。」


「大袈裟よ。爆睡してるだけよ。」


「そなたは、ウンス王女の侍女でしたね?

ずっとウンス王女と?」


「はい!エルナと申します!幼い頃より

ウンス様の側におりました。ウンス様が、

4才の時に塔に追いやられてから、

一緒に遊び、使用人の仕事もして

いました。ウンス様より

三つ程上ですが、いつも二人でした。

王宮を出る前は、ウンス様は、離れの塔に

一人で住んでました。侍女は、私

だけでした!」


「時空間魔法だと?

よく隠し通しましたね?

ウンス王女は、あの国の王族に伝わる

不思議な力を全て、いやそれ以上に

覚醒させていたのですね。」


ウンスは、推しにソックリなヨン王子に

ドキドキしていた。

一生推すわ!ゼロ様!

少し声が漏れた。



「ゼロ?」


「あっ、いえ、何もかも初めてなので

ゼロから初めて宜しいでしょうか?」


「勿論!俺は貴女を待っていたの

ですから、ゼロから…式をあげても、

恋人から始めましょう!」


「私は、ウンス・ユソーウル…あっ…

除名されたんだったわ…どうしよ…

22才にもうすぐなります…」


「明日には、ウンス・サンダーに

なるのです!ユソーウル国の王女だった

のは、俺が知ってます。

ヨン・サンダー27才です。」


「先程から気になっていたのですが、

何処かでお会いしましたか?」


「はい…貴女が眠っている間に…。

そのうち、話します。」


「それと、お願いがあります。

おこがましいですが、私は、今迄、

エルナが作った薬草や、宮殿の花を

こっそり売って、お金を稼いでました。

できれば、研究室があれば、魔法も

最終段階に入れます。」


「ハハハ、そんな事なら大丈夫ですよ?

この王宮…明日から皇宮になりますが

300程の部屋があります!

ヨンの執務室は、ほら?あの塔です。

皇帝になっても、変わらぬでしょう。」


「ありがとうございます。」


「しかし、あのユソーウル王国は、

第三王女には、金貨もドレスも

与えていなかったとは、ヨンが急に

ウンス王女と結婚したいと言い出した

時には、驚きましたが、これで

良かったと思いました。ところで、

エルナさんは、薬草の知識があるの

ですか?」


「国王陛下!エルナとお呼び下さい!

何故だか、わかるのです。いつの

記憶でしょうか?この草は、解熱に

効くとかわかるのです。」


「そうですか…私とは、初対面ですよね?」


「はい!誠心誠意、ウンス様に一生

仕えるつもりでございます。ですから

国王陛下!私を此処で雇って下さい!」


「ハハハ、それは、ヨンが許すでしょう。

私もヨンも縁談は、沢山ありましたが

この年まで、断り続けました。

これからは、ヨンに負けない位、

良き妻を探したいと思っているのです。」


「兄上!でしたら、皇帝には、兄上が!」


「ヨン!お前は明日、素晴らしい王女と

結婚するのだ!そのうち子も授かる

であろう!皇帝に皇后がいないと言う

のは、かなりのリスクが伴う!これは、

王としての最後の命令だ!

私も普通の恋と言うものをして、

見つけてみたいのだ。」


「はい!兄上!」


ウンスとエルナはヨン王子の雷神殿に

案内された。

執務室に近い宮であったが、

とても、広く豪華だった。


メイド長のチェミは、小柄だが、

テキパキとして風格があった。

ヨンは、事情を説明すると、

快く、うなずいた。

エルナは、特別に一人部屋を

与えられ、ウンス専属のメイドとなった。


皇帝となるヨンの部屋と皇后になる

ウンスの部屋は、寝室を間にして、

二人にしか行き来できないように

なっていた。


「すっごーい!こんなに広い部屋?」


「王女!貴女のドレスや部屋着は

揃えてあります!アクセサリーの

宝石も苦労して他国から買い集め

ましたが、何か他にほしい物は?」


「あの…研究するのに楽な恰好を

しても、大丈夫でしょうか?」


「かまいません!一つだけ、貴女が

何処で何をしているか?それだけは、

私の部下に伝えて下さい!」


「はい。」


「では、明日を楽しみにしています!」


「あっ…ドレスも持たせて貰えなかった

ので、白いドレスをエルナが綺麗に

してくれますが、宜しいですか?」


「かまいません!貴女は、どんな姿でも

美しいですから!」


そういって、頬に口づけると、

足早に去っていった!



リルーシュだわ!マジで推すわ!


頬が熱くなり、両手でおさえた。


そして、驚いた事に、用意された

ドレスや部屋着は、ウンスに

ピッタリだった。






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何となく知ってる方々が?

さて、皇帝と皇后になりますよ〜🎵