47歳。私の最後の住みかになったのは、船に揺られて遠い、遠い島。旦那さんは本当に出会った事のないような素朴な田舎の匂いがする人。家の窓を開ければ、すぐそこに海があって、波の音が心地よく、空も広く、遠くを見ると海と空が合体してる。高くそびえるビルも無く、ザワザワと聞こえる街の音も無く、、夜は早々と暗闇になって、街並みをぼんやりとした街灯が照らす。車の走る気配もあまり感じることが無い。夜空は星が隙間なく光り輝く。あ〜最後の私の居場所は完璧だ!と来たばかりの頃は感動したっけ。そんな気分もあっという間に裏切られて、島の生活は単純に素敵と言うほど甘くはなかった。魚介類は東京より高く、勿論肉も高い。コンビニなんてものはない。テレビで見る様な、浜焼きなんて、やってる人なんていやしない。光熱費やガソリン代なんて、恐るべしと言えるほど高いのに、車所有者は相当なものだ。人は皆優しい顔で相手を陥れる。少しでも気を許せば地獄へと落ちる。48歳で初めてイジメを経験する。58歳までは意外にも太刀打ちできた。息子2人も島へ来て、島の子を嫁をもらうやら、ついに2人の嫁一家に私は敗北する。鬱になって2年間引きこもった。こんな私が鬱だなんてありえない!とあの時はショックだったっけ?病院や役場なども守秘義務なんてものはなく、朝の仕入れた情報は、その日のうちにあちこちで噂になる。誰々さんが結婚した、子供産んだ、どこぞの人が亡くなったなんて事は、1日で島に知れ渡る。なんて事だ!海に囲まれた素敵な島は観光するだけで、移住はやばい。逃げられない海の中に浮かぶ島。全く私の人生いつまで経ってもハズレだ。