こんにちは。
中小企業診断士のTAです。
大手銀行5行は31日、11月の住宅ローン金利を発表しました。
このニュースで取り上げられている金利は「固定金利」です。
「これから住宅を建てようと考えている人」「今、住宅ローンを組んでいる人」
に伝えたいことは「得するなら変動金利を選べ」です。
人の価値観は様々ですので、変化への不安を取り除きたい方は
固定金利を選んでください。
では、住宅ローンの現状や金利の決定方法を踏まえ、
変動金利を選んだ方が「お得」なワケをお伝えします。
●住宅ローンの現状
住宅ローンの金利は固定金利と変動金利があります。
固定金利は3年、5年、10年、全期間といった条件のもと、
読んで字のごとく借入金利を固定しています。
変動金利は、金利が下がれば利息の支払い額は減少し、
金利が上がれば利息の支払額は増加します。
したがって、将来、金利が上がる状況なら固定金利を選択した方が、
借入をする時には有利と一般的に言われています。
全期間固定金利のフラット35を取り扱う住宅金融支援機構の調査によると、
2022年4月時点の住宅ローンの金利タイプは、変動金利型が73.9%と最も高くなっています。
民間金融機関もおよそ7割の方が変動金利を選択しています。
出典:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者調査2022年4月調査」
「他の人も変動金利を選んでいるんだ。我が家もそうしよう」という判断もあると
思いますが、これだけ世の中が急変しているからこそ根拠をもって選びたいですね。
●金利の決定方法
住宅ローンの金利は10年物の日本国債の金利を基に決定されます。
金融機関は私たちの預金を運用しており、企業や個人への貸出金の他、保険の手数料収入や国債のクーポンなどで収益を得ています。
運用の中でも代表的なものは、日本国債です。
日本国債は日本政府の借金です。
政府が借金をする際に発行するものが国債であり、
都道府県や市区町村が発行すれば地方債、企業が発行すれば社債となります。
個別の企業の株式や諸外国の国債には価格、金利、為替等のあらゆるリスクを内包していますが、日本国債は国が破綻しなければ償還される(元本が返ってくる)ので金融機関も安心して預金者の資金を運用し収益を稼ぐことができます。
もちろん、金融機関の収益源は国債のクーポン収入だけではありませんから、
複数の資金調達手段や貸出金や手数料の収益性を勘案してローン金利が決定
されています。
つまり、他の条件が変わらなければ、国債の金利上昇により住宅ローンの金利に
上昇圧力が加わることになります。
国債の金利が上昇しても、ローン金利には反映させないケースもありますが、
日銀によるマイナス金利政策やコロナ資金需要の一服により金融機関の収益構造は
厳しい状況が続いています。
本記事は、自行の状況や他行の動向を勘案して、りそな銀行、三井住友銀行、みずほ銀行は引き上げに踏み切ったのでしょう。
●変動金利を選んだ方が「お得」なワケ
では、なぜ変動金利を選んだ方が得なのでしょうか。
再三になりますが、今回金利を引き上げたのは、10年間の固定金利です。
今回金利を引き上げた三井住友銀行のホームページを見ると、
変動金利の基準金利は2.475%と2009年1月から10年以上も変わっていません。
変動金利の金利は低い理由は新規に借入する方に向けて
キャンペーンとして打ち出しているからです。
住宅ローンが契約できれば、給与振込や公共料金の引落など
メインで利用いただける可能性が拡大します。
そうなると、金融機関はローン契約者の収支のデータを得ることができます。
勤務先や家族構成が掴めるため、新たなローン商品や投資商品の開発、提案に活用することができます。
金利を抑えてでも住宅ローンの契約を獲得したい理由です。
では、なぜ基準金利を10年以上も変えないのか。
「基準金利を上げれば銀行は利息収入が増えるのではないか」と思われるのではないでしょうか。
厳密には、5年間は返済額が変更しない、返済額の上昇は125%が上限であるといったルールはありますが、一時的に利息収入は増えることが見込まれます。
しかし、固定金利よりも変動金利を利用している人は多く、
急激な金利の上昇により返済できない人を生んでしまうリスクを孕んでいます。
目先の収益獲得に走れば、不良債権を生んでしまうことに繋がりかねません。
一方、基準金利を下げると契約者全体の金利が下がるため、
ただでさえ厳しい金融機関の収益状況は一層悪化します。
基準金利でなく、キャンペーン金利のディスカウントを行い、
新規契約者を獲得してきたのです。
したがって、変動金利の基となる基準金利は容易に変えられないといえます。
これらの仕組みを理解すると、変動金利といえど簡単には変わらないことが
分かると思います。
なので、私は住宅ローンの相談を受けた際には
変動金利の方が「お得」であると説明しています。
「これから住宅を建てようと考えている人」「今、住宅ローンを組んでいる人」の
参考になれば幸いです。
お読みいただきありがとうございました。
皆さまのお役に立つよう日々発信していきたいと思います。
