もう10年以上前の話。

まだ自分の直腸も姉妹も健在だった頃の・・・・。

おチビさんが、まだ姉妹のお腹の中で芽生えたばかりの頃の・・・

今は昔のお話・・・。

 

あの頃、家の風呂を直す事になって、近場の日帰り温泉を利用する

羽目になっていた。

ある日、自分が露天風呂に浸かっていたら、母娘っぽい二人連れが、

同じ露天に入ってきた。

 

しばらく無言で漬かっていたけど、娘ちゃんの方が、まだ小学生らしき

年代にもかかわらず、ちっとも楽しそうに見えない。

俯いて、しょぼーんと湯に浸かっているのがなんだか気になって、失礼

だけどなんとなく気にしてたら、聞こえてきてしまった会話。

 

ママがいなくてさみしい?

うん・・・・・。

そっかぁ・・・・。

 

・・・・・・ああ、親子じゃなくて、おば様と姪っ子ちゃんとかなんだな。

 

その時はそう思っただけだった。

ただ、素直に、ママがいないのが寂しいと口に出せたお嬢さんに、

愛されて育ってるんだな・・・と、微笑ましく思っただけだった。

 

その話を、帰ってきてから姉妹に話したら、

「ああ、そういう子に育って欲しいなぁ」

姉妹はほのぼのとした表情でそう言った。

 

それから十年ちょっと・・・。

「ママがいなくて寂しい・・・」

ちゃんと口に出せる子に育ったけれど・・・・。

 

大好きなママに、二度と会えない・・・

現実に、「ママがいない」事になるなんて、思ってもみなかった・・・。

 

もう三年が過ぎる・・・・。

姉妹が逝って、経った年月。

自分ががんの手術してから経過した月日・・・・。

重なってるから、忘れようもなく・・・・・・・・・・・・。

 

春を迎えるというある意味嬉しい、美しいこの季節が、自分には悲しく

つらい時節でもあって・・・・。

思い出すと、やっぱり泣けてしまう・・・・・・・。

 

姉妹。

貴女の娘は、もうじき高校生だよ。

背は伸びてないけど、大きくなったよ。

でも、中身はまだ8歳児だよ。(^.^;ゞ

 

ダメ男はダメ男のままだよ。

貴女を失ったショックはまだ続いてる。

けど、なんとか立って歩いているよ。

 

自分も、足掻いてる。

ダメ男とおチビに迷惑かけないためにね。

 

見えてますか?

貴女が今いる場所から・・・・・。

 

貴女がいなくて寂しい・・・・本当に・・・・。