でも本題の前に…
東京都性自認及び性的指向に関する基本計画案のパブコメ、9月30日(月)が締め切りです。意見を出せる方は出してください m(_ _)m
では本題。
中央大学で行われた公開講座に行ってきました。
きょうは2019年度の第3回目。「LGBTと防災:災害リスクの理解とレジリエンス・尊厳」の講義でした。身近な千葉で台風被害で停電が続く中、被災しているLGBTなかでもトランスジェンダーの方はかなり苦労しているだろうと思っていたので、この機会にちゃんと学んでおきたい内容でした。
災害時にトランスジェンダーがどう困るかは、このブログを読んでいる方ならすぐに想像できると思いますが念のため。
・名簿に性別欄があるのではと思い、避難所に行けなかった
・避難所の職員や他の避難者に奇異の目で見られる
・入浴できない
・自認する性別に応じた下着や衣類、物資がもらえない、貰いづらい
・自認する性別の更衣室、トイレが使いづらい
・ホルモン治療が出来ない
…
そもそも性的マイノリティーの存在が想定されていない事からの問題が大きいようです。
意外だったのは、同性パートナーがいる人だけではなく、避難所の運営が「世帯単位」の支援になっていて、独り身と言うだけで利用しづらい状況があるらしいこと。さらに同性パートナーがいたりすると「周りの人に根掘り葉掘り聞かれるだろう」と避難所の利用をあきらめるケースがあったそうです。
そういう意味では、規定に「世帯」と書いてある制度は注意が必要で、例えば同性パートナーシップ制度があっても「公営住宅の制度と紐づいていなくて、"伝統的"な世帯像から外れると利用できない」ような場合、高い確率で「避難所も世帯単位の援助」になっている可能性が高いとのことでした。
こういった「なんでも世帯単位の支援」はDV被害者の生活再建にも悪影響があって、世帯主が加害者でも支援金などが加害者に入ってしまうために被害者の生活再建が困難になりやすいとのことでした。
当日配られた資料で、とても参考になると思ったもののリンクを共有しておきますね。
熊本地震の経験をもとに、女性・障害者・外国人・性的少数者などが遭遇しやすい困難がまとめられています。
東北の震災の際の経験をもとに作られた防災ガイド。裏が英語になっています。「普段から用意しておきたいもの」のチェックリストは当事者は見ておきたいです。震災の時の経験から、災害規模が大きくなるほど「公助」が届きにくくなって「自助」が大事になると登壇者の方もおっしゃってました。
大事だと思ったこと。
「普段から出来ていないことは緊急時にはできない」
行政側はもちろんですが、個人としても考えさせられる内容です。地元の自治体はかなり保守的な地域で、LGBT団体などの活動もあまりできていない状態の気がしています。自分が被災した場合はもちろん、被災しながらも支援に動ける場合を想定して、地域の団体と繋がる努力をしてみようと思いました。
「被災者には尊厳ある生活を営む権利、援助を受ける権利がある(スフィア基準 コア原則)」
被災者自身にも周りにも、被災時の権利主張をためらう・わがままと捉える風潮がまだまだ強い日本。それが影響しているのか、日本の"避難所"は国際的なスフィア基準に照らした場合、避難所と呼称して良い物なのか大いに疑問がわく状況です。(私見ですが、途上国の難民キャンプやその他の国の被差別集団の収容所に近いレベルだと思います)
登壇者の方がおっしゃっていたのは、「日本ではホモフォビア、トランスフォビア以上に、権利主張へのフォビアが蔓延していて、こちらの方が実は厄介」とのことでした。
なので「わたしこんなに苦しいんです、かわいそうなんです」って言うのは聞き入れられやすいけれども権利の主張が難しい。「短期的にはそういう戦略もアリだけれど、マジョリティーの気持ち次第なので危ない。次第に権利を正面から主張するようにしないといけない」とおっしゃっていました。
今回も、とっても勉強になる公開講座でした。登壇者の方、運営の方、中央大学の方、ありがとうございました。
あと、昨年の講座「LGBTをめぐる法と社会」をまとめたものが書籍化されて今月中に刊行予定とのことでした。わたしが性別適合手術を受けた上で社会生活を送る上での重要な視点をいくつかくれた講座なので、思い出に買っちゃおうかなぁ。でも、紙の本は読めないお年頃なんだよね。こういう本は電子書籍化されにくいだろうしなぁ。悩み中です...