入院していたときの話。
病院食ってのは味気なくお世辞でも美味しいとは言えるような食べ物ではなかった。
朝ご飯なんてご飯とみそ汁と味のない焼き魚と味のり。
僕ってあんまり焼き魚好きじゃない。
なんかパサパサしてるからね。
あんまり好きじゃない上に味がないのならもちろん食べない。
誰かにあげようにもあげれないからね。
同じ部屋の人達はヨボヨボのじいちゃんばっかりだからね。
でもだからなのかな、若い看護婦さんばかりなのは。
嬉しくもあれば悲しくもあるね。
なんたって僕は年齢が近い女性の方が近づくだけで緊張して話せない奴だからね。
逆におばちゃんや小さい子とかは平気で話しができる。
だからおばちゃんや小さい子には好かれるんだと思う。
話しは戻りますが、ご飯が美味しくないんですよ。
喉を通りませんわ。
まあ、幸い運んで来るのがおばちゃんでね。
運んできたらすぐにみそ汁をご飯にかけちゃうのね。
だから喉通らないから。
部屋の人達に運び終わるとちゃんと配られたかどうか確認しに来るのね。
ご飯にみそ汁かけてるところ見つかるといつも言われる。
「またご飯にかけてる」
だから毎日いろんな言い訳考えてね。
「喉通らなくて」
最初はちゃんとした理由。
「お腹に入れば一緒じゃん」
これまた正論。
「手が滑っちゃって」
ちょっとふざけたり。
「隣の人がやってるの見てどんなものか気になって」
隣とはカーテンで仕切られてるから見えません。
「悪魔に誘惑されて」
頭の中にいる我慢させる天使と誘惑する悪魔ね。
「ご飯とみそ汁が一つになりたいって」
もうこの辺りから意味わからない。
「そろそろ同居させてあげようかなって」
自分でも言ってることよくわからなくなってきた。
「デュエットしたいって」
歌わないのに。
とかいろいろあってキリがないからこの辺りでやめときます。
こんな言い訳ばかり言ってたから看護婦さんの間では有名になったみたいですよ。
てか、俺が入院してた階は若いのは僕だけだからね。
あとはみんなじいちゃん。