九州電力は今日(11日)午前10時30分、鹿児島の薩摩川内市にある川内原発1号機の原子炉(ろ)を起動して再稼働させた



東日本大震災後の新規制基準下では初となるが、再稼働反対の声も根強く、原発周辺などでは市民らが抗議の声を上げている

九電の作業員が川内原発の中央制御室で、原子炉内で核分裂を抑えていた制御棒を操作するレバーを倒し、32本を引き抜く作業を開始して原子炉が起動

午後11時頃には核分裂反応が連続的に起こる「臨界」の状態となる見通しで、核分裂の熱で造る蒸気でタービンを回して発電する

14日に発電・送電が始まり、出力が徐々に上げられて今月下旬にはフル出力となり、来月上旬にも営業運転に移る予定

九州電力の瓜生(うりゅう)道明社長は、「原子炉起動は再稼働工程の重要なステップの一つ。引き続き国の検査に真摯(しんし)に取り組み、安全確保を最優先に今後の工程を進める」とのコメントを発表した

2011年3月の東京電力福島第一原発事故を踏まえ、新規制基準では地震や津波への対策が厳しくなり、九電は耐震補強や安全設備に、佐賀県の玄海原発と合わせて約3000億円を投じる対策などを推進

川内原発は去年9月、全国で初めて新規制基準を満たすと認められ、1号機では今年3月に原子力規制委員会の使用前検査が始まり、7月に核燃料を搬入

約4年間運転を停止している事から、慎重に準備が進行した

福井県の関西電力大飯(おおい)原発3・4号機の停止以来、今回の再稼働で「原発ゼロ」が1年11ヶ月ぶりに終了し、安倍政権も原発を"重要な電源"と位置付ける

九電は10月中旬には2号機も再稼働させる方針だが、原発周辺住民の間では原発施設外での事故対策の不備などの課題があり、高齢者が多い医療施設や介護施設では避難計画の策定が延滞

また鹿児島は火山活動が活発な事から、巨大噴火への安全対策が必要との指摘もある

賛否両論が渦巻き、責任の所在も曖昧(あいまい)なままで、十分な議論が交わされない中での再稼働となり、今後も原発を巡る問題が終息する気配は無い

特集  川内原発
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