「りんご」観劇  ぼくにとってのりんごは・・・ | ヨシPブログ

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CLIEで舞台や映像のプロデューサーしてる吉井敏久といいます。Twitterでは書ききれないことを書いてます

昨日、V6の長野くんが主演の舞台「りんご」を観て来ました。

僕はとんでもない舞台に出会ってしまいました。。。

この舞台、原作はドキュメンタリーで
世界で初めて無農薬でりんごを作った、木村さんという方のお話。
無農薬でりんごがなるようになるまでの
苦悩を描いています。

幕が開き、
淡々と舞台が始まりました。

しばらくしても、ペースも演出も変わらず淡々。

長野くんの演技も特に抑揚もなく、
「もしかして、演技下手だっけ?」と
思ってしまうくらい、味気ない。

なんと、一幕が終わっても変わらない。
いったい、どうしたんだろう?この舞台は・・・。

2幕に入って、
物語は若干の進展を見せる。
しかし、大きくは変わらない。
結局最後まで変わらないまま通した舞台・・・。

しかし、最後にはとてつもなく大きなものを感じてしまいました。
人の人生そのものです。

最後にして気づかされました、
この舞台は、ドキュメンタリーである原作を
あえて、過剰に脚色しないことで、
リアリティを、、、人生というものを
観る人につたえようとしたんじゃないかと。。。。

本当にそうだとすると、
脚本家は・・・演出家は・・・
なんて我慢強いんだろう?
だって、クリエイターであれば、
観る人に感動して涙を流してほしい、
腹の底から笑ってほしい、
など思うはず・・・。
それを、ぐっと押さえて
淡々とした演出にしたこの方々、
凄いです!

想像するだけで、寒イボたちます。
今年はいい作品をいっぱい観ていますが
その中でも、かなりの上位に入ってしまいました。


そして、もうひとつ!
ちょっと話は反れるんですが、
主人公が劇中で言う台詞に、はっとさせられました。
「農業は、一年に一回しか収穫できない。
 実らなければ、また一年後までどうしようもできない。
 だからこそ、みんなが精神誠意手をかけて、
 りんごが実ったとき、初めてみんなで手を取り合って
 「よかったね」っていえるんだよ」

この台詞を聞いて、僕は
農業は舞台制作に似てるんだなと思いました。
舞台も、収穫は本番を迎えたそのとき一回きりしかありません。
それまで、必死に本をつくり、キャストが稽古し、
スタッフが力をあわせて作り上げる。
その舞台の幕が開いたとき、
客席中に立派なりんごがいっぱいになっていて
初めて、僕らは「よかったね」といえるんです。

そして主人公はこうも言ってました
「俺らは、ただりんごを作ってるんじゃない。
 食べ物をつくってるんだ」
と。

そうなんです、農家は
食べるためのりんごを作ってるんであって、
商品を作ってるんじゃないんです。


僕はね、商品としてのりんごが作りたいんじゃない。
みんなが、おいしいと言ってくれるりんごを作りたいんです。