第十九作目
(あらすじ)戦国の世に剣人達の保護者にして後援者であり、自らも剣士として知られた北畠具教。その元にも戦国の覇者、織田信長の手が伸びつつあった。北畠家が滅ぼされるか否かは、具教がその娘、旗姫を信長の息子茶筅丸(織田信雄)の嫁として差し出すことにかかっているという。そして当の旗姫は言った…その決定は具教に仕える伊賀忍者、木造京馬の言葉に従うと。
京馬は北畠を救うべく、旗姫の輿入れを意見するが、旗姫に恋慕する京馬の兄弟子、飯綱七郎太はそれを激しく拒絶する。そればかりか、旗姫の身を安全に保ちつつ近寄る者を無力化するため、幻術師果心居士から伝授された忍法「びるしゃな如来」を彼女にかけてしまう。それは、ひとたび彼女を見た者は彼女を手に入れずにはおかぬ執着心を抱かせつつ、彼女から一定の範囲をこえて近づくと激しく射精して脱力し、無力化されてしまうという恐るべき術だった。
そしてあろうことか術にとらわれたのは、北畠具教を案じて集結していた当代きっての剣士たち12人。姫の身を託された京馬は、彼女の身を彼らと、さらなる企みを持つ七郎太から守れるのか? 姫に執着する剣士対剣士、そして忍法の戦いが、あてどない放浪のうちに始まった。
木造京馬
飯綱七郎太 ~ 果心幻法「ほおずき燈籠」「びるしゃな如来」「地獄如来」
剣士軍
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◆塚原卜伝