目 次
◇くノ一紅騎兵 五
◇忍法聖千姫 五一
◇倒の忍法帖 一〇三
◇くノ一地獄変 一六一
◇捧げつつ試合 二一一
◇忍法幻羅吊り 二三九
「終わりました。腹ちがいの姉上さまの千羽さま、それから、甲賀の掟を破って谷を追われた千羽さまの母上さま、ようこそ、甲賀の忍びの一族という素性は明かすなという掟だけは護りぬいて下さいました。あなたたちの知らない腹ちがいの妹、いえ甲賀の娘としてお礼を申します。地獄へ堕とされた姉上さまとお気の毒なその旦那さまの復讐はこれで終わりました。どうか安らかに成仏して下さい。では、わたしは甲賀卍谷に帰ります」
そして、その鼠色の姿が鼠色の大空へふっと溶け、あとはただ春のおぼろ月を、妖々と一朶の薄雲がかすめ過ぎただけであった。
◇忍法穴ひとつ 三〇七
「背孕みの秘法、その愉しさ、陽炎、あの世まで忘れはしませぬ。お礼申しあげまする。おさらば。ー」