勝利の楽しさを知った私は、

自分自身にどんどん負荷をかけていった。

 

帰宅してからの自主トレはもちろん、

普段から足首に錘を付けて生活をし、

バレーボールに関する本を買い漁り(買うだけ)

 

「自分はバレーボールの天才なのだ」

 

と自己暗示をかけ、

アニメの主人公のように、

必殺技が習得できるとすら思っていた。

 

まさに、

 

「中二病」

 

そのものである。

 

先輩たちが引退して自分たちの代になると、

キャプテンに任命された私は、

その病気をどんどんエスカレートさせていった。

 

「なぜできない?」

「真面目にやれ、もっと集中しろ!」

「できないなら、練習しろ!」

 

という厳しい口調でチームメイトを叱責し、

 

俺がやらないければ・・・

 

という強迫観念のようなものも手伝って、

少しづつチームメイトの輪から遠ざかっていった。

 

「ただのクラブだし」

「勉強や塾もあるし」

「そもそもそんなにバレーが好きじゃないし」

という、みんなの意見にフタをして、

 

「足を引っ張るな!」

「俺が勝たせてやってんだ!!」

 

と、まさにコート上の王様であった。

 

そしてある時、

 

「監督、あんなヘタクソなトスじゃ打てません。セッター代えてください」

「そもそもヘタクソなら、その分、俺より練習しろよ」

 

と、全体ミーティングの中で禁句をぶちまけたのだ。

 

さすがにマズいと思った監督が私を叱責し、その場を取り繕ったのだが、

 

「ごめん・・」

 

と小さく呟いた、

同級生たち全員が、

次の日の練習をボイコットした。

 

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この時のことは、今でも鮮明に覚えています。

あんなに仲良かったのに、一瞬でシラケたみんなの目。

心の底から「ヤバい!」って感じた。

「自己嫌悪、罪悪感、後悔、羞恥心」

人生の汚点として、今でも後悔が残っている。

小中学生には、声の掛け方や励まし方など細かい部分も指導し、

人と人との接し方を学ぶことも重要な要素であると私は思います。

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