記事は8月に入ってます。
奥さん闘病最期の月です。
これから先を書いてくうえでの心得を改めて表記しておきます。
このブログは善くも悪くも自分の想いのまま感じたままを書くと決めております。
奥さんの事も例外ではないです。
当人もそれを支えた自分も地獄、でした。
しかしこれはあくまで奥さんと自分の記録です。奥さんと同じような"境遇"にある方の絶望を決定づけるモノではないとご了承ください。
選択・分岐しだいではなにか変わるのかもしれないし、必ずしもこれから書いてくシナリオがその方々の辿るであろう道…"正"ではないのです。
序盤で書いたかもしれませんが、この「がん」という病は"負の感情"、精神的な要素が大きく影響すると考えています。
どうか先入観などで意図せず自身の命運を誘導し定めること無きよう。。
それを理解できないなら、これから先は見ないほうが賢明です。
悪しからずm(_ _)m
…………………………
体重測定。3コースめのスタート時にも測定したが、その時より4kg増やった。
わずか1週間のうちに。しかも絶食期間は抜けてはいたが、経口摂取はほぼなくこの増量は
本来体外へ出るはずの老廃物が体に蓄積されてしまっている。もしくは腹水が溜まっているか。
先生がいらした時に病状説明。
腹部をエコーで診てもらうと、案の定腹水が溜まっていた。先生の見立てで目測1~2㍑…
末期発覚より2月ちょっと、、いよいよこの段階にきてしまった感は拭えない。
……………
「腹水」とは、
腹部に体液が異常に蓄積される症状。
原因はいろいろあるようだが、がん性腹水の場合は、がんが元の部位より腹膜に転移した際に起こりやすくなるようで。
腹膜にがん細胞が広がるとその刺激を受け、これを緩和しようと腹部内に体液を集める。
(違うかもしれませんが、火傷や擦り傷で水膨れができるソレの体内版でしょか。)
また、がんが肝臓や肝臓に血液を運ぶ門脈に広がると、肝機能(循環)を損ない体液が血管やリンパ管から滲み出てお腹に水がたまっていく。
この管々から滲み出た体液には、本来体内を巡るはずの栄養分・栄養素も含まれているが一緒に漏れてしまうようだ。
がんという病で亡くなる率は、がん自体がどうこうよりも栄養失調によるモノが多くである理由がこれなのだろう。。
さらに、がんがリンパ管を塞いでしまうと
これまた体液を排出できなくなりお腹にたまる。
もとより、奥さんは発覚した時点で
リンパ節転移(ステージ3相等)、腹膜転移(ステージ1相等)も確認されていた。
もちろん、腹水によって引き起こされる症状は栄養失調にとどまるわけではないが、
腹水量が増える時間隔が短くなるというのも…そういうことだ。
……………
午後より腹水の脱水処置を行ってもらう運びとなった。
「穿刺(せんし)」、というらしい。
これは説明書くうえで、当時の処置を目の当たりにした事を思い出すだけでもぽんぽんが痛くなる。
腹部にたまってしまった水はどこに行けるでもなく貯留してしまう。
体内から各臓器を圧迫してしまうことで機能阻害を起こすのに加え、外圧とは異なる内圧による内臓痛は想像を絶するモノらしい。
これまでは化学療法で全身に散ってるがん細胞の増殖を抑え、利尿剤を用いて排出を促していたが、それも限界。
直接腹部に管を刺し水を抜く、ダイレクトな処置だ。
加えて、がん性腹水はすぐに再発する(またすぐたまる)ことから、この管(カテーテル)を留置して定期的に脱水処置が行えるようにするという。
………
午後になり処置を行う時間。
手術室へ行くでもなく病室で施術するよう。
複数の看護師さんが慌ただしく準備する中、不安そうな奥さん。無理もない。
全身麻酔でもない部分麻酔で意識もはっきりしてる状態でぽんぽんを刺されるのだから。
先生がいらして施術開始。
自分は傍らで奥さんの手を握って
「大丈夫、楽になれるからね?」
と少しでも不安を拭ってあげることくらいしかできない。
腹部にエコーをあてて穿刺ポイントと管の挿入量を計算し定めた後、部分麻酔を施し穿刺針を打つ。
麻酔をしているとはいえ痛みを完全に消すわけではない。
「イタイ!!…!!」(>_<。)シ*
と声を漏らし自分の手を握る力もいっそう強くなる。たぶんいままで握られた中で1番、骨が軋むほど強かった。
「がんばれ、がんばれ。。」(`・ω・´;)
そう耳元でささやき勇気づけるので精一杯。
…処置が終わったと思いきや地獄は終わらない。
どうやら規定の長さの針では、カテーテルが留置ポイントに届いておらず水が抜けてこない。
奥さんはぽっちゃん体型ゆえ腹部の脂肪が厚かったからかもしれない。
急遽、別途施術で使用する長い針を代用し再穿刺(どくろ
医療行為とはいえ、よもや奥さんが目の前で2度も刺される姿を見ることになろうとは…
今後サスペンスもので刺殺シーン見る度思い出すんだろな…(げんなり
施術後、今度はちゃんと水が抜けたのを確認できたら先生や看護師さん達の目も気にせず奥さんの頭を胸に抱き寄せ
「よー辛抱した!よー頑張った!!」と頭を何度も何度も撫でてあげた。
奥さんはぐったりやった(T_T)
ゆっくり時間をかけ、少量ずつ抜いていく…
一気に抜いてしまうのは危険なようだ。
水といっても無色透明ではなく黄味がかっている。
体液とはもとよりこういう色なのかもしれないが、点滴液のソレと色が酷似しているためか
運ばれるべく栄養が漏れ落ちているという言葉に妙に納得がいった。
この日1.5㍑の水を抜いた。
今後、日々体重管理のもと、管は留置しいつでも抜けるようにしてある。
晩に部分麻酔が完全に切れたのか、処置部の痛み訴えオプソ。なんだか水分補給をだんだんしなくなってきてる。
………
別な日、レスキュー他なにかとナースステーションに近いほうが対処も速いからと詰所の隣の病室に移った。
言葉を返せば、この段階まできたら"なにか"起こってもおかしくないということだ。
尿意をもよおしてから用を足すまでの時間が長い。
水分をあまり取れてないからてのもあるけど、尿意があるのに出せないのはかなりの違和感のようで気持ち悪がってた。
………
翌日は8/6…
この日は県民にとっても世界にとっても特別な「原爆の日」。。
朝にはパキッと目を覚まし、体を起こして
自分にGoogleマップで原爆ドームの方向を調べさせた後、そっちを向く奥さん。
こんな身体になってもベッドの上にちょこんと正座して定刻8:15に黙祷をするあたり、さすが奥さんといったところか(/o\)健気や。
パッチ張替日、8.4mgで定着か。
オプソも10:00に飲む。もう定期飲みしてもいいんじゃないのか?
肝機能を助ける注射も打ってもらった。
この日非番でお休みのはずのT先生がいらっさる!
ここまで患者さんに献身的だと、もぅ感謝通り越して(いつ休まれてるんだろう…? 汗)と逆に心配になる←
点滴の投与量を2000ml→1500mlに減らして
腹水の溜まり具合改善を狙う。
………
腹の張りがかなり体重も前日より1kg増。
張ったお腹を抱えて単純CT撮る。
よく診てみないとなんとも言えないが、腹水に加え胃にも溜まっている様子…
今回は胃にも管を通し内容物を抜く。
尿管も入れるそう。
…(。 。 )…
しばらくしてCTの詳しい結果の報告。
腹水はそうでもないが、膀胱に尿がたまっているそう。加えて皮下脂肪が水分を含んでしまって張っていると先生の説明。
なんと、、腹に水がたまるのみならず脂肪まで水分を含むと…!?(・・;)そんなことがあるのか。
たまった尿は利尿剤を用い排尿を促す。
トイレ頻度が多くなるとしんどいので利尿剤使用中は尿管ドレンを行う。
尿はかなりたまっていたようで止めどなく排出される…
胃管のほうも、チューブごしに見える内容物は酸化した黒色に混じり鮮血も確認された。
やはり今もじわじわと出血しているのだ。
今思えば錠剤経口時に含む水分さえ戻したりしていたのは胃に内容物が詰まってしまっていたから。
その要因は血泥がつまってしまったり、腹水や含水脂肪でパンパンに張ったお腹ないし膀胱に圧迫され胃と腸が塞がってしまってたか。
普段は吐き気からの戻しで調整できていたが、今回は制吐剤がしっかり効きすぎて戻しがなかったぶん、溜まってしまったと診るべきだろう。
晩、経口錠剤類を粉砕して胃ドレン管を利用して水で流し込んだ。そんな使い方もありなのねー。
…夜中ふと目が覚めて奥さんのそばに腰を掛ける。よく寝てる。
酸素チューブ、点滴カテーテル、尿管、腹水ドレン管、胃ドレン管、、
容態が悪くなる度、奥さんが管だらけになってく姿を見て「これが果たして正解なのか、つらい思いをさせてしまっているだけなのではないか」と自問していた。
おそらくこの娘が望む"普通の生活"はもぅこない。
3コースめ途中やけど、腹水の件から近々先生より厳しい"現実"を告げられるのは想定できた。
もはや形だけの積極的治療を続けるより緩和ケアに切り替えたほうがいいのは明らかだ。
しかし、自身が頑張れば治るんだと信じてる奥さんにどぅ告げる?
今までの頑張りを、希望を砕かれてどう生きられる?
余命をふせる選択すら過ちだったのではと疑心さえ生まれる。
あぁ、苦しいな。でもこれは誰某に救いを求めてはいけない。自分以外の人に背負わすわけにはいかないな。。
………
翌日、胃のドレン管を抜く。
奥さんが寝てる間にCT結果を交え先生の説明。
ひと月前大学病院で撮ったCT画像と先日撮ったCT画像とを並べて比較できるように出してくれた。
素人目でもその劇的な変化は容易に見て取れた。胃部にある塊影が凄まじく肥大していた。他の臓器を圧迫してるのも分かる。
「…やはり、抗がん剤の効果は薄いんですね。」
こうなることはある程度分かっていた。
がん化部を切除できないと言われたあの時から悟っていた。
いつもはバキバキ説明してくれる先生もさすがに言葉が重い感じで説明してくれた。
抗がん剤(標準治療)は体内に散っている小さな細胞レベルのモノには効果があるが、がん塊ともなれば効果は期待できない。
ーそう、これが標準治療の限界。
これが"現実"なのだ。
これまで化学療法をしてきた意味は、
リンパ節や腹膜に転移したヤツらを抑え込み、末期の末期である腹水を遅らせるためだったといえる。
しかしもはやここまできた以上、3コースめも続ける事はできない。
なぜなら先生の説明では、もぅ1箇所指摘すべき問題が起きていたからだ。
肝臓の胆管が膨れ上がっているという。
胃もしくは膵臓のがんが肥大したため、肝臓から十二指腸につながる胆汁(消化液)が通る管が圧迫され押し潰されているのではとの見解。
便に色がついているので完全には塞がってないようだが、このままでは肝臓が壊れてしまう。
ゆえに肝臓ドレン処置の選択を迫られる。
ベストは黄疸が引き、けだるさが抜けるはずだが、この処置をしたからといって必ずしもその効果が期待できるわけでもないし
リスクも相応に伴う。
施術は当院でもできないことはないが、
大学病院ですることをおすすめされた。
施術するならリスクに対して万全態勢で臨むべきだということなのだろう。
この件に際して、大学病院のH先生より説明準備が有るという。
急ではあったが奥さん家族とうちのおやじと連絡をとって大学病院で落ち合う事にした。。
………
例のごとく、そこそこ待った後診察室へみな通された。
説明はT先生の説明と同様なので割愛するが、
このままではどの道肝臓限界により治療は続けられない。4コースめは始められないという。
肝臓の数値を下げ、黄疸改善・治療再開を目指す。
どうされますか?
…家族各々思いはあるようだが、明確な答えは出せずにいるようやった。
ひとつの命を左右しかねない決断。
みな旦那である自分にどうする?と委ねる
それでいい。皆は背負うべきではない。
…おかしな話だ。
これ以上続ける意味のない治療再開のためにリスクを冒す?
T先生とH先生はこの辺の話はすり合わせてないようだが。
もはや"まやかし"の治療を続けるメリットも皆無とは頭では分かっている。
でも、肝臓が壊れ解毒・分解能力を失った身体は全身毒に侵され苦しみの中…そうなるのだ。
行くも地獄、退くも地獄、、
どちらに進んでもいばらの道・・・
ならば、処置をして毒苦を払う可能性にかけることが奥さんの苦しみを和らげるための選択だと判断。
自分の意思をかため決断を下した。
そうと決まればと明日、大学病院へ転院するよう準備をするという。
帰ってから奥さんに説明するとびっくり不安になりそだが、大丈夫。ちゃんと安心できるよに説明してあげようて。
………
水面下ラスト。
皆でいったんじっちゃん家に行き、こないだおやじが保留にした墓(納骨)の件、葬儀の件。
おやじは奥さんのお骨をじっちゃんの墓への納骨を承諾してくれた。
が、もし許されるなら"分骨"という形で
せめて遺骨の周りの灰だけでも納めさせてもらいたいと言う。
…おやじも奥さんを想ってくれてるのだろう。どうしても我で供養したいようだ。気持ちは痛いほど分かる。
じっちゃんばっちゃんとお義父さんは「うーん…」と返答に困っている中、お義母さんは
「分骨するということは、奥ちゃんの身体を"裂く"ということよ?それだけはできないわ。」
と難色を示した。
おやじもそれ以上食い下がることもなくその場を退いた。
葬儀に関しては、じっちゃんは奥さんは嫁いだのだから××家の執り行い方でよろしいございますと言ってくれたからよかったものの、
両家の宗派が異なると、色々と面倒なんだなと思った。
自分は宗教の違いから生まれる争いほど愚かなことはないと思っている身なので、この話がすんなりまとまってよかった。
思想や教えが違うモノ達が互いに己の信じるモノが"正義"と掲げ争う。
「宗教の自由」という信仰宗教に関する人権があるにもかかわらず、だ。
※特定の宗教を信じるのも自由、宗教自体信じないのも自由
自分が知る限り、ひとつの宗教の思想や教えその全てが正しい事・真理であると思ったことはない。その逆も然り。
中には確かに心響く教えがあるのも事実。
ゆえに自分は特定の宗教に固執せず様々な宗教の、自身が共感できる思想や教えの"いいとこ"だけ抜粋して都合よく信じている。
これが自分の掲げる「宗教の自由」だ。
世界中が一個体の思想や教えに固執せず柔軟な真理を求めれば戦争も減るんじゃねーの?
…脱線しましたが。
うちの執り行い方でということで、おやじも諸々説明を奥さん家族にして聞いてもらった。
葬儀屋さんはじっちゃん経由というか自分も縁のある所にお願いしてあるし、祭場も実家の近くにある所を押えることができそうだった。
生前にどんどん進んでいく亡き後の話。。
じっちゃんのいう通り、きちんと定めておかなければならないモノと分かりつつも旦那としてはだいぶ精神削がれる想いだ。
………
すっかり日は暮れた頃、病院に帰ると奥さんは起きていた。
どこに行ってたかは看護師さんに聞いて知っていたようだったので、大学病院での説明をきちんと話した。
肝臓爆弾の危機、、
もちろん奥さんは不安に表情を曇らせたが、
ユーレイがそう決断したんなら私もそれが最善と信じる!と受け入れてくれた。
(゜-゜)(。_。)
奥さんがあまり動けないぶん、自分がテキパキと転院準備をしながら夜は更けていく。。