今日は現在開発中のインスリンポンプについて!
ちょっと前にテルモがフランスのDiabeloop(ダイアベループ)と組み、
日本市場向けにハイブリッドクローズドループシステムの共同開発をはじめたというニュースが流れてきましたね。
ポンプが、CGMのグルコース値をもとに、自動でインスリンを入れたり止めたりして血糖コントロールが楽になる、という技術です。
これを人工膵臓artificial pancreasという人もいますが、最近の傾向としてはautomated insulin deliveryやclosed loopという名称の方が一般的になってきています。
プレスリリースから分かることは
ハードウェアのポンプは今のメディセーフウィズを元にして、
ハイブリッドクローズドループにするために、Diabeloopのソフトウェア内蔵端末(DBLG1)と連携して動く仕組みを共同でつくると。
それだけ
唯一参考になったのは、体重、一日の平均インターネット量(TDD)、インスリンカーボ比、基礎レートの入力する必要があるということ。
なるほど体重とTDDをいれてくるあたり、自己学習機能があるのだなと分かりました。
しかしそれ以上の情報はなく。。。。
もしかしたらフランス語で検索すればいろいろ出てくるのかもしれませんが、あいにくからっきしわからぬ。。。
そう思ってたところ先日、イギリスの1型YouTuberがDiabeloopのCEOに英語でインタビューをしてくれました。
そこでざっくりとポイントをまとめみました〜
もちろん日本導入にあたり多少は変わるかもしれませんが大枠を理解するのに役立つと思います!
以下

Diabeloopは、ソフトウェア会社であってポンプメーカーではない。したがってロシュをはじめ、世界中のポンプメーカーと協業している。
Diabeloopの世界戦略のなかでは、日本だけは例外で、Diabeloopではなくテルモが主導権を握ってすすめている。週に数回会議をしているが、詳細は話せない。
Diabeloopのソフトウェアは、マシーン・ラーニング機能(AI)が備わっており、インスリン注入量を個々人の身体やライフスタイルに合わせていくことができる。
運動モードがあるので、それを設定することで目標血糖値をあげたりするなどしてインスリン注入量を減らすことができる
運転中や仕事中など、少し高血糖でも良いので邪魔されたくないときはZen modeがある。一時的に目標血糖値を高めることで低血糖リスクを減らし、アラームも鳴らないようにする。患者が提案したネーミングからきている。
データ共有について。医師や家族とデータを共有することができるが、共有されたくない時間帯は、プライベートモードに設定すれば共有されることはない。
インスリン注入は5分おきのCGMデータを読み込み再計算する。マイクロボーラスや基礎レート変更を組み合わせる。
目標血糖値は、患者自身で調整可能で、100-180mg/dLの間で選べる。高い目標血糖値は、治療開始時にa1cが高い患者が急激に平均血糖値をおとすことで発生する合併症リスクを軽減するためにある。
マシーン・ラーニング機能は、二層に分かれている。
第一層は、短期間の変化に対応。1から3日間での急激なインスリン需要の変化に対応する。うまくコントロールができていないときはエキスパートシステムに切り替わる(?)
第二層は、中期的な変化に対応。(図を見る限り、このレイヤーでインスリンカーボ比などのパラメータを調整するのかな)。調整には最低でも10日間、完全に安定するには3−6週間かかる。
スマホとの統合は、ハッキングリスクが高いため、いまのところ考えていない。DBLG1 のようなロックダウン端末は、アプリをインストールできないので安全。
アンドロイドとiPhoneは、インスリンポンプをバックグラウンドアプリで操作するためには、安全性が不十分である。中に入り込む方法がいくつもある。実際What’sAppなど毎年トラブルが起きている。
将来的には、安全性を保ちながら利便性をあげるためにスマートウォッチへの接続は考えている。またアップル、Google、サムソンが安全な仕組みを現在、作っている最中なのでそれが完成したら、スマホに統合させる予定である。
現在開発中の機能としては、ミールアナウンスメントなしのフル・クローズドループシステムにしたい。現在でも、数日に一回しかミールアナウンスしなくてもa1c7.3%くらいのコントロールができている患者もいる(そう、カーボカウントさえ不要になるのです!)
以下、ド素人の放言
メドトロニックはCGM含めすべてが自前の垂直統合型。対して、主要ライバル社のTandem, Insulet (Omnipod), Bigfoot, BetabionicsなどはCGMは他社(Dexcom, Abbott)をつかうものの、クローズドループの心臓部であるソフトウェアは、すべて自前でやっている。
Diabeloopはこうした自前のクローズドループのソフトウェアをもたない既存のポンプメーカーに的を絞り、プラットフォームを提供する戦略のようだ。ソフトウェアだけ提供するという意味では、Tidepool Loopと似たビジネスモデルにみえる。
転じて問題の日本市場。テルモは、インスリンポンプ市場に参入したばかりで、いきなりクローズドループのソフトウェアまでつくるのはさすがに資金的にも、人材的にも、時間的にも厳しかったのだろう。
個人的には(Tandemと同じ戦略で)、提携しているDexcom所有のTypeZeroのクローズドループアルゴリズムをベースに自前のソフトウェア作るのかなと予想していたがその道は選ばなかった。
今のメディセーフウィズのリモコンのユーザーインタフェースみるかぎり出来は、うーむ…という感じなので餅は餅屋でソフトウェア会社に任せたということで期待できそうですね!!
国内メーカー応援してます!