ルムジェブ再挑戦への道

 

人体実験しますのでちょっとしらべたことをメモしておきます。

 

ルムジェブ肌トラブルで苦労した方、炎症は抑えられるという可能性が!わたしもやってみないと分からないですが、とりあえず再挑戦してみます!

 

 


わたしは医学に関してずぶの素人(ただの1型糖尿病患者)なので、悪しからず。

 

 

 

 

1. ルムジェブで肌が炎症をおこす


以前にルムジェブでポンプで試しましたが、カニューレ部分が炎症、硬結などの症状を呈し、やむなく中断しました。データを取るためにがんばっても2週間が限界でした。

 

ルムジェブは、ヒューマログに、血管拡張作用のあるトレプロスチニルなどを添加したものなのですが、その血管拡張作用によって炎症が増悪するらしいのです。

 

血糖コントロール自体は、ルムジェブのほうがフィアスプよかったので意気消沈しました。




2.慣れて炎症が起きなくなった症例が!
先日、海外の有名ブロガーDiabettecさんの投稿をよんでいたら、同じようにルムジェブで炎症で使えなくなったとありました。

 

その後、彼はフィアスプとルムジェブ’を混ぜることで、炎症をおさえ、2ヶ月使い続けていたとのことです。先日ルムジェブを希釈せずにそのまま2ヶ月ぶりに使用したら、肌のトラブルが一切起きなかったというのです。驚きました。

 

彼の主治医いわく、血管拡張作用のあるトレプロスチニルは、肺高血圧症患者がおなじくポンプで注入しているが、しばらく使っていると肌の炎症反応が起きなくなるというのです。本当!?

 

 



3. トレプロスチニルに慣れるというのは本当らしい
   

さっそく、主治医、薬剤師、トレプロスチニルの製造元とのお話しに加え、いくつか勉強になる論文もあったのでちょっと書き出しておきたいと思います。


 トレプロスチニルは、しばらく使用を継続することで慣れによって炎症が徐々に起きにくくなるようです

 

肺高血圧症患者の一部は、1型とおなじポンプとカニューレをつかって、持続皮下トレプロスチニル注入療法を行っています。そのうち、かなりの人が何ヶ月か使用するうちに改善したそうです(Skoro-Sajer et al. 2008: 512)。

 

定量的なデータがないので、行間を読むしかないのですが、それなりの割合が慣れるようです (原文は、“Often, but not always, improves after several months”)。

 

もともと患者数が少ない病気であるうえに(たとえば日本国内はざっくり5000人くらい)、持続皮下注入法で治療しているのはさらにそのなかでも一部の患者だけなので、データ少ないのかもしれないですね。




4. 慣れのメカニズムについてはわかっていない


慣れによって炎症が徐々にでなくなる機序については、個人的にはまだ論文を見つけられていません。

 

先日、トレプロスチニルを製造している持田製薬にも問い合わせましたが、慣れることは認識しているが、その機序については分からないとのことでした。



5.トレプロスチニルへの炎症をおさえる方法


肺高血圧症患者を対象にした論文で掲載されている検証して有効だった方法をまとめてみました。

 

 

5.1. カニューレの種類と留置場所
 まずは、カニューレによる刺激をへらす工夫を徹底しましょうとのことでした(そりゃそうだ)。トレプロスチニルに慣れるまでは炎症が起きやすいわけですから、数ヶ月はローテーションでまわす場所も物理的刺激が起きやすい場所は避けたほうが良いですね(ベルト付近など)。


 また炎症が起きにくいシルエットのカニューレを使いましょう。一般的に肌にたいして直角に挿入されるクイックセットだと、外部から圧力が加わると内部の管が動きやすく炎症の原因になると言われています。斜めに挿入されるシルエットのほうが、外部から力が加わっても体内の管の動きがすくなく抑えられるので炎症が減らせると言われています。

 

これは、以前にCapillary Medical社のカニューレ開発者のインタビューで聞いたものです。曰く、論文化されているエビデンスはないが、医師や専門家の間の共通認識だとのことでした。



5.2. トレプロスチニルの希釈
    

トレプロスチニルの注入量を減らすと炎症が起きにくくなります(Matheir et al. 2010:1214)。1型は、肺高血圧症患者よりもトレプロスチニルの投薬量が小さいのですが、可能な範囲で減らすと良さそうです。

 

ではどうやって減らせばよいのか?一度にボーラスする量をへらすのがいいですね。

 

でも本命は希釈。さきにだしたDiabettecさんは、ルムジェブとフィアスプを1:1の比率で混ぜることでトレプロスチニルの量を希釈して、2ヶ月間使用したとのことです。

 

使用システムはOpenAPS、ピークタイム45分、DIA6時間という設定だったそうです。これらのインスリン製剤をまぜるのは、安全性はわからず、かつ認められている方法ではありませんのであくまでも自己責任になりますね。

 

 

 

 


5.3. 薬


トレプロスチニルを皮下注入する肺高血圧症の患者の間では、飲み薬、軟膏、湿布での鎮痛剤の使用が効果的とされていました。

 

肺高血圧症の方々は、炎症を起こしてでも使い続けなければいけないため、薬という選択肢がでてきますが、ほかのインスリン製剤も選べる1型とは置かれている状況が違います。主治医と相談してください。

 

薬をつかわない方法としては、留置箇所にドレッシングフィルムを敷くというのも有効だそうです。

 

 


5.4. ドライカテーテル法
これは論文を掘ってみた一番の収穫かもです。

 

事前にカニューレを留置したまま時間をおくドライカテーテル法(Dry catheter pre-placement method)という方法が炎症をおさえるのに有効だそうです(Mathier et al. 2010:1214)

 

まずは通常通り、カニューレを挿入します。その後、トレプロスチニル(ルムジェブ)を入れないままカニューレ挿入時の傷による炎症反応がおさまるのを待ちます。だから「ドライ」なのですね。

 

大元の論文は非公開なので孫引きとなり詳細はわからないのですが、持田製薬のホームページでは、待つ時間を24時間から48時間としています。

 

それからようやくトレプロスチニル投与を開始します。

 

物理的な挿入による炎症反応と、トレプロスチニルによる血管拡張に伴う炎症反応が同時に起きないようする方法です。つまり二つの炎症要因の間に時間差をもうけるという作戦ですね。



6. 再挑戦してみよう!


自分にあいそうなものをダメ元精神でかいつまんでルムジェブに再挑戦してみたいと思います!

 

すでに処方箋をいただいたので取り寄せ次第、開始したいと思います。

 

他に参考になる論文や専門家のご意見あれば教えて下さいな。

 

みなさんの人体実験(笑)の結果も聞かせてください!




References


Mathier, M. A., McDevitt, S., & Saggar, R. (2010). Subcutaneous treprostinil in pulmonary arterial hypertension: practical considerations. The Journal of heart and lung transplantation, 29(11), 1210-1217.


Skoro-Sajer, N., Lang, I., & Naeije, R. (2008). Treprostinil for pulmonary hypertension. Vascular health and risk management, 4(3), 507.