政策市場、国内政治

投票率促進法(条例)~投票したら住民税の減税等を行う
2022.11.10-11.30加筆修正

【はじめに】
(1)低い投票率が続いている
~低い投票率で僅差で当選した議員は、実態として国民・住民の意見を代表しているか?疑問だ。
「投票による間接民主主義」は、相当程度の投票率(投票数)が無ければ機能していない
(参考リンク)「平均投票率86%、デンマークの若者は呼びかけなくても選挙に行く。「幸福の国」成り立たせる“小さな民主主義”」(BUSINESS INSIDER 2022.11.9)
https://www.businessinsider.jp/post-261441
(参考リンク)「デンマークの選挙:90%近い投票率」(デンマーク大使館 facebook 2017.10.31)
https://ja-jp.facebook.com/EmbassyDenmark/posts/1434218149948037/
(2)外国由来のカルト教団等が日本の政治に影響を与えようとしている
~旧統一教会が「選挙の人手提供」「集会への講演・メッセージ依頼」「教義研修の受講依頼」「推薦書・政策協定」「議員秘書提供」等で政界浸透を図っている。限られた信者数でありながら、選挙結果を左右できるのは、全体の投票率(投票数)が低いからだ
(参考リンク)「日本はとんでもない間違いをした」岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三…3代続く関係性から見える旧統一教会が目指した“国家宗教”【報道特集】(2022.9.24 TBS NEWS DIG)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/162559?display=1
(3)「投票率」は「視聴率」に比肩する指標
~テレビは放送局間・番組間で視聴率を競う。近年のインターネット配信との競争は、テレビ自体の存在意義の低下にもなり、テレビとインターネット配信の融合等、存在価値の維持に工夫を重ねている。
~「雨が降ると投票率が下がり」「与党・現職に有利だ」などという戯れ言は、以ての外で見識を疑う。
 「低い投票率」が続けば、「投票による間接民主主義」の存在意義の低下にもなり、存在価値の維持に工夫を重ねなければならない
~「低い投票率」では、最近の「民主主義VS専制主義」という標語も色褪せる

【1】投票率低下の要因
(1)「小選挙区制」で候補者を選べなくなった
「中選挙区」のときは、1選挙区に複数定数だから、「自民党と社会党、複数当選を狙う同じ自民党どうし、第3党の公明党、少数新党」等が競った。
~このため人物本位で選ぶこともできた。候補者個人と有権者の結び付き(支援関係)もあった。顔の見える政治家。
「小選挙区」では当落により「1かゼロ」で、候補者は政党の名簿作成で充てがわれ、人物を見る意味が無い。
 有権者は「人格の無い数」になり、政界浸透を図る疑問のあるカルト教団等の信者でも何でも「数に変わりない」ことになった
(2)「小選挙区制」かつ「細かい区割り」で、「死に票」が多く投票が結果に反映しにくい無力感
~仮に、与党に失策があり批判票を投じると、「中選挙区」では、定数2の2位3位が入れ替わるなど、微妙に結果に反映して、有権者は溜飲を下げた
(3)「与党が失策を重ねて」も、「野党に代わる政策が無く」選択枝にならない
~残念なことに、「野党に代わる政策が無い」と、「与党が失策を重ねて」も、(小選挙区は当落により「1かゼロ」で、前記の中選挙区のような微調整が無く)何も変わらない。「納得していないぞ」という意見表明ができない
(4)成人年齢、投票権が18歳になったが政治的知識・素養が無い
投票権を得ても、「政策・政党・政治家を知らない」ことを理由に投票しないことがある。

【2】投票率低下による日本国の損害
(1)政治が「自分事」でなくなる
~前記【1】のような「投票率低下」が続いて、「政治は自分と関係無い」「自分は政治に影響を与えられない」と認識する人が増える
(2)「国民主権」が空洞化する
~前記【はじめに】のような「低い投票率」の結果、「投票する一部の人」が選挙結果を左右することになる。
 「投票による間接民主主義」は、相当程度の投票率(投票数)が無いために機能しない。「国民主権」が空洞化する。
(3)「議論」が減り、「少数による独裁」が起き易くなる
~前記【1】のような「小選挙区」では、「議論」の必要性も下がり、また「投票する一部の人」が選挙結果を左右すると、「少数による独裁」が起き易くなる。

【3】何故「投票率」が重要か?
(1)「投票による間接民主主義」は歴史を重ねて作った知恵で、末永く維持しなければならない
~米国が破壊したイラク国家では、「スンニ派、シーア派の宗教対立」があり、「投票による間接民主主義」では国が機能しない。中国は「特色ある民主主義」を掲げるが、「国民の作風と広大な国土、歴史」を見ると、西欧的な民主主義が機能しない疑いは理由が無くはない。
~しかし日本では「江戸時代の幕藩体制の蓄積」「寺子屋からの識字率の高さ」「明治以降の立憲君主制議会」等を背景に、「投票による間接民主主義」が機能しているから、末永く維持しなければならない。
(2)投票率(投票数)が低いと、「少数の作為的な行動で結果を左右される」事態が起きる
~「投票率低下」が続いて、前記【2】のような日本国の損害が起きる。

【4】投票率を上げる方法
(1)従前のやり方、王道としては「選挙啓発」(選挙管理委員会、学校教育等)があるが、成果を出していないこの現実から、次の方策を考えなければならない
(2)「投票すれば利益を得られる」という動機付け(インセンティブ)
~本来「投票して得られる利益」は、「政治家・政治活動の行動変容」であろう。しかし前記のように実績として機能していないから、投票率が下がっている。
~一部店舗等で自発的にあったのは「投票証明書を示すと割引等になる」ボランティア的な選挙啓発。
これを公的に組織的に行う。直截的、あからさまで実もふたも無いが、即効性がある
(3)「単に投票率を上げても、正しい(?)政治選択にならない」という批判・批難はあるだろう
~しかし「普通選挙の凄いところは、資産収入の多寡によらず、政治的知見の多少によらず、市井の人々の選択に政治を委ねる」ことにある。
動機付けにより「投票することが前提」になれば、「良識に応じて情報収集する」だろう。そのために「学校教育で学ぶ力・判断力を磨いている」

【5】投票率促進法(条例)案
(1)目的
~「投票率(投票数)を上げて、より多い有権者の参加を得て、国民主権を充実し、末永く維持する」
(2)政府・地方自治体の責務
~国政・地方行政の選挙に係る投票率(投票数)を上げる方策を講じる。
~具体的には、「年度内の選挙で1回以上投票した有権者に、住民税の減額または減額相当額の給付を行う」
~国は、地方自治体に地方交付税等による支援策を講じる。
~ちなみに逆に「義務付けて」「投票しないと罰を与える」やり方は、外出が不自由な高齢者や多忙で時間を取れない現役世代等、実施上に問題点がある。
(3)国民の責務
政治的知見の蓄積に努めて、良識に基づいて投票する
(4)住民税減額等の具体例
~予算の裏付けにより「年度内の選挙で1回以上投票した有権者」に、「千円から5百円」の、「住民税の減額または減額相当額の給付」を行う。
「住民税の減額」等は、住民税の年額決定(6月頃)に合わせて、年1回行う
~「住民税非課税」の者については、「減額相当額の給付」を行う。マイナンバーに登録した銀行口座等があれば、事務負担を減らせる。
~市区町村ごとに、「住民税の減額」等に代えて、「地域商品券」等の交付を行うことができる

【6】投票率促進条例の先行実施
~国全体で法律により行うことが望ましいが、議会の合意を得られた市区町村が条例で、先行実施することも有り得る。
予算額の試算
東京都世田谷区:人口92万人×千円~5百円=9億2千万円~4億6千万円
東京都檜原村:人口2千人×千円~5百円=2百万円~百万円

【7】参考:「投票義務化どうですか」(2022参院選 耕論 2022.6.24朝日新聞)
(1)ベルギー
1893年から「義務投票制」で、投票率は9割近い。投票を怠ると、初回に40~80ユーロ(約5600~1万1200円)の罰金で、繰り返すと高額になる。
投票義務化の利点は、市民の教育に役立つこと。導入当時は、「政治家の汚職による政治不信」「政治の急進化」等の課題で、国内安定が急務だった。政治参加を促して、「政治の正統性を取り戻す」「市民を政治的に教育する」手段
~中学生・高校生から、学校で政治の議論をするのは日常で、授業で政策を調べて、自分の意見を言う。
~オランダ語圏、フランス語圏、ドイツ語圏のうち、一部地方選挙で、義務制を廃止する議論があるが、右派政党が「投票率を下げて選挙を有利にする狙い」だと批判されている。
(2)「政治不信という病理」「投票率の基盤は政治への信頼」
~「強制投票制度」等は、ベルギー、オーストラリア等、30近い国で採用されている。
~1996年、米国政治学会:「低投票率は深刻な民主主義上の問題」、富裕層・資産家、高学歴層等「恵まれた人々」は様々な形で政治的影響力を行使する。「恵まれない人々」は投票に行かず政治的影響力を行使しない。不均衡な低投票率を変える必要がある
日本では、若者や貧困層の投票率が低いため、高齢者の声が通り易い政治「シルバーデモクラシー」になっている
~「政治に関与する側」(国民・住民)は、「私的・個別的利益」でなく、「社会の共通利益」を見出すために、「異なる意見を聞き、理性的に議論し、合意点を見つける」。主権者教育が要る。
~「政治を担う側」(政治家)は、(日本は政治に信頼が著しく低いから)「信頼を回復する策」を要す。政治不信の蔓延は政治参加の意欲を削ぎ、民主主義を停滞させる
(3)「投票の自由」
~「投票率が高いと選挙結果の正統性が増すが」「「第二次安倍政権以降、国政選挙の投票率が低迷」「投票義務制はしっかりしない政治家・政党に下駄を履かせる」
(引用者注記:いやいや!意識が高い投票回避ならば、白票を投じれば良い。)

(参考リンク)「平均投票率86%、デンマークの若者は呼びかけなくても選挙に行く。「幸福の国」成り立たせる“小さな民主主義”」(BUSINESS INSIDER 2022.11.9)
https://www.businessinsider.jp/post-261441
投票率の高さは、民主主義がうまく機能しているかを測る重要な指標の一つである。「必要があれば自分が物事を変えられる」という実感がある
 日本では「投票したって意味がないという無力感や、いくら声を上げても社会は変わらないというフラストレーションは国民の幸福度を下げる」

(参考リンク)「デンマークの選挙:90%近い投票率」(デンマーク大使館 facebook 2017.10.31)
https://ja-jp.facebook.com/EmbassyDenmark/posts/1434218149948037/
~国民から見れば、選挙を通じた意思表明が比較的ダイレクトに国政に反映されていると感じられる。選挙が比例代表制度なので、死票が少ないことも選挙に行くインセンティブを高めている
~平等意識の高いデンマークでは、国会議員も自転車で通勤し、エコノミークラスに乗る。地方議員には給料も支払われない(なので一般の人たちが議員を兼ねている)。政治家を一般国民から遠い存在にせず、政治が身近な存在である。

(参考リンク)「日本はとんでもない間違いをした」岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三…3代続く関係性から見える旧統一教会が目指した“国家宗教”【報道特集】(2022.9.24 TBS NEWS DIG)
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/162559?display=1
~安倍晋太郎氏。安倍晋三元総理の父。11回の当選を重ねたが、1963年、思わぬ落選を経験。文鮮明「安倍さんの派閥の議席数は13しかなかった。それを88名まで、全部教育して育ててあげた」。「(安倍晋太郎が総理大臣になれなかったから)統一教が日本の国家宗教になるのが、何十年も遅れると言った」。
~「その頃の戦略が書かれた関連団体の資料に、信者を意味する“食口”(シック)の議員を100人立てることを目標に掲げている。」「関連団体での講義内容に、安倍元総理を“食口”(シック)にすることが含まれていた。」

(参考リンク)「国会・官僚組織で法治主義・民主主義を壊した人が、非合法手段で倒された」
https://ameblo.jp/t1997/entry-12755210229.html
「「政治主導」「官邸主導」等は、「三権分立のうち、行政の中での政権与党・官僚組織の関係」のことであり、「法律(立法・司法)無視」ではない。」
「「公正に職務執行する官僚組織」は、「法治主義・民主主義」が機能する前提条件であり、国民の財産である。」
「「国家緊急権の運用を先取り」、異論のあることでも、合意形成をしないで閣議決定で行う。」
「刑事司法(逮捕不逮捕・起訴不起訴)を政権の意向で決めようとした検察庁法改正は、国家緊急権(緊急事態条項)を先取りした。」
「権力に近く権力に有用な人」(「上級国民」)は、「法律違反」をしても「逮捕や起訴をされない」だと、「法の下の平等」に反する。「権力に近く権力に有用な人」を贔屓すると、権力の専横になる。」

(参考リンク)「霊感商法・高額寄付対策、消費者庁検討会等が法改正・立法を要すること(抄)」
https://ameblo.jp/t1997/entry-12767929087.html
【Ⅰ】悪徳商法、高額寄付等賠償請求訴訟特別措置法(仮称)を作る
【Ⅱ】情報開示を強める宗教法人法改正をする
【Ⅲ】有害活動を明示した上で抑止する反カルト法を作る
旧統一教会による被害回復に関して、政権与党・野党は共に「(銃撃という)非合法手段を用いずに、問題を解決できる合法手段を示さなければならない」

(参考リンク)比例代表中選挙区併用制の検討を!!民意を反映する選挙制度を求める
小選挙区制の「日本は有権者がコントロールできずに走り続ける車」

http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-cyuusenkyokuhireidaihyouheiyousei.htm
政治の現状に不満を持つ回答が多く、かつ「政党 支持が減り、支持政党無し」が増えた。
有権者は投票行動で「現状に異議申し立てをして 現状の変更を決定」する。しかるに政治組織に世論を吸収する仕組みが機能していな い
主権者の意志が、速やかに、正確に、選挙結果に反映すること。
イギリス議会 の議席配置(左派、右派)に象徴される世の中の意見が2つに分けられた時代であれ ばともかく、政権交代と単純小選挙区は本質的に関係無い
しかし今は、有権者の意見を代弁する政党は2つではない。それぞれの政党の支持率 は50%を大きく下回っている
「有権者と候補者個人との支持関係」
それによると最大の政治勢力は 「支持政党なし」だ。今ある政党の中では、積極的に支持できる政党が無いということだ。投票したいと思える政党や候補者を待っている。
当選する可能性が現実に第1党、第2党 にしかないならば、その2党を支持できない有権者には選択肢が無い!!
「ブレーキをかけたつもりが、政治はUターンしてしまった」ということが起こる。「日本は有権者がコントロールできずに走り続ける車」
「意見が多様化する時代」に、「何故、2大政党を人為的に作り出すか?」。それは 「タナボタの政治」に他ならない。
民主党、日本共産党、社会民主党で2から3倍以上の支持がないと自由民主党と同じ 1議席を獲得できない。

以上は、「投票率促進法(条例)」
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以下は、「政策の結果の課題」(一部抜粋)

【8】<経世済民>政治は世の中を治め、民を助けるために行う。
総合課税でないため(勤労所得と金融資産所得で)異なる所得捕捉率
中流層の崩壊。非正規雇用に2極分化。低賃金に固定。厚生年金から外す
経済的理由から結婚・出産できない

(参考リンク)税制の改革・総合課税が必要
http://www.hi-ho.ne.jp/t1997/z-zeiseinokaikaku.htm
~日本では総合課税をしていないので、きちんと所得を捕捉していない。
総合課税が無い条件では、日本の直接税比率は低い。高額所得者は、株式配当等所得があり、捕捉率が低い。(勤労所得と金融資産所得で異なる所得捕捉率。)
~超高齢化社会他に掛かる金を、間接税だけに求めたら経済が窒息する!

(参考リンク)住宅扶助を生活保護から抜き出して低所得者に単独適用する
https://ameblo.jp/t1997/entry-12697514666.html

(参考リンク)【若者の半分を超えた非正規雇用では暮らせず、人生設計(結婚・子育て・家購入)できない】【非正規雇用の収入で貯金はできず、老後生活費が国民年金の5~6万円では生活できない】
https://ameblo.jp/t1997/entry-12417294358.html

(参考リンク)映画「菊とギロチン」女相撲の稽古に励む君は十分に強い
君の強さが足りないのではなく、社会の仕組みが間違っている
~非正規が増える日本も昔の話ではない
https://ameblo.jp/t1997/entry-12397557860.html

(参考リンク)映画「北朝鮮をロックした日 ライバッハ・デイ」
平城住民VS渋谷の若者、幸せなのは誰か?