(4-1)(p59-)アメリカ第一主義

「群を抜いて裕福なときに海外援助は許容できる。学校予算も足りず、目の前の道路さえ整備できないときに、なぜ他国を支援しないといけないのか。」「アメリカは自国の面倒を見る時期に来た。」


(4-2)(p61-)「NATO(北大西洋条約機構)28か国のうち、GDP2%の防衛費を負担するガイドラインを達成しているのは5か国だけ。」「個人でも国家でも、請求書分を払うのは当然。常識を発言して、なぜ批判されるのか。」


(5-1)(p64-)オバマの「嘘の約束」

「民主党候補は「雇用を取り戻す」と約束して、当選して、何年も過ぎて、何も実現していない。」

p65-2008年大統領選の予備選挙で、オバマは、妻クリントンが北米自由貿易協定(NAFTA)支持だと批判して、「自分は改定する、メキシコ・カナダの大統領に電話を入れる」「グローバル化が勝者と敗者を生んでいる。協定は、ウォール街(大企業・金融業 Wall Street)だけでなく、メインストリート(中小企業・庶民 Main Street)の利益になるのが基本原則だ。」「(有権者)オバマがチェンジをもたらす」


(5-2)(p75p79p80-)「(民主党郡幹部)有権者がトランプ支持に流れただけでなく、今の民主党に嫌気がさしている。」「夫クリントンが署名したNAFTAに反対して、妻クリントンも同じと見なした。」「地方では、民主党員にも銃所持の権利を重視する人が多い。」「妻クリントンは米軍の最高司令官に向かないという意見があった。」「カトリック教徒が多いとプロ・チョイス(中絶選択権)でなく、プロ・ライフ(胎児の命)支持に流れる。」「若者がきちんと働ける機会が少な過ぎる。」


(6-1)(p39-)一緒にテーブルを囲んでも、トランプとなら普通に話せる

「(女性を侮辱した言動について)有名人は狙われている。男なら女のことを汚く言うこともある。女も男のことを悪く言う。ロッカールームの会話は、そんなもの。対立候補や報道機関がつまらないことを持ち出しているのが悲しい。」「ビジネスマンらしく、景気を良くしてくれれば十分。」


(6-2)(p41-)「誰もトランプに模範は求めない。誰でも過去を洗いざらい調べれば、何かしらくだらないことが出てくる。」「この国が今必要としているのは、理想を語る職業政治家ではなく、ビジネスで実績を残した指導者だ。」


(6-3)(p147-p149)「しんどい日も彼は私を笑わせてくれる。私が育った頃は全てがイージーだった。私だって政治の全てを理解しているわけじゃない。一般的な政治家の話は難しすぎる。私たちと同じ言葉を話すトランプなら、普通に話せそうだ。」


(7)(p114-)「大都市の問題だった貧困・薬物中毒が、地方に拡がっている。」

p118-)「医療用鎮痛剤オピオイド等の過剰摂取による死者が増えている。25-3435-44歳の働き盛りが多い。」


4 2016年大統領選の結果を見誤ったのは何故か

(1)(p91-)「研究者、報道関係者が妻クリントン当選を既定路線のように扱った。」「米国内の識者も記者も、民主党への支持が強い都市部で高等教育を受けて、卒業後も都市部で長く暮らすうちに、地方の視点から離れた。グローバル化の恩恵も受けていて、暮らしが悪くなった労働者の気持ちを理解していない。」「トランプ人気の現象は不思議だった。」


(2)(p111-)「トランプに期待したのは、雇用機会・健康保険制度・海外から製鉄業を取り戻す・減税」


5 白人が過半数を割る年(年齢別)

(1)(p160-2045年に白人49.8%、ヒスパニック24.6%、黒人13.1%、アジア系7.8%になる見込み。更に、若い年代ほど早く過半数を割る。18歳未満は2020年、30-39歳は2033年。

1965年改正移民法で、出身国の割り当て制限が無くなった。(これは合法移民のことで、不法移民は含まない。)」白人の割合は、196584%201760.7%


(2)(p162-)共和党支持が、白人の「高齢者」「男性」「高校卒業以下」で急増している。


(3)(p156-)アメリカ社会の人種差別は今に始まったものではない。


(4)白人民族主義

~(p166-)白人・ユダヤ人のエリートに被害を受ける白人。白人にも差別されている人々がいる。「虐げられた白人」を代弁する政党を作る。集まって暮らせるコミュニティを作り白人を守る。「少数派としての白人 minority white

~(p168-)「白人が支配的立場の人種になることではない。」「白人が優れているということでもない。」「仲間(白人)が醜く愚かでも、声を上げたり、守られたりする権利はある。」

~(p189-)「どの民族にも固有の場所があるべきだ。世界の民族主義者と連携協力したい。」

~(p189-)「90年代、大統領候補ブキャナン「病むアメリカ、滅び行く西洋」(白人が減る人口動態、キリスト教文化の喪失)からアメリカの伝統を守る活動を始めた。」(p190-)「北米に白人の独立国家、市民権は白人だけ、非市民はゲスト。」(引用者注:ユダヤ民族に敵対的だが、国民を民族・宗教で限定するのはイスラエルと同じ。)

~(p186-)「自由貿易に反対、ロシアと関係改善、移民停止」(p188-)「工場海外移転で、多国籍企業は最大利益、労働者は賃金低下、共同体・伝統文化を破壊」(p191-)「グローバル資本主義は脅威。」(p192-)「環境保護を重視。」(引用者注:アパラチア、ラストベルトの炭鉱業・製鉄業復活とは背反。)「ヘルスケア(医療)は権利で、ビジネスの対象にしてはいけない。」


(5)白人至上主義

KKKは、白人が人口で圧倒的多数派のときから居た。

~ナチス鉤十字「ハーケンクロイツ」、ナチス(国家社会主義ドイツ労働者党)と同じ「国家社会主義」、(p176-)ウェブサイトにヒトラー1925年「我が闘争」(世界は人種同士が覇権を競っている、アーリア人は文化創造者・日本民族は文化伝達者で手先に使うなら役に立つ・ユダヤ人は文化破壊者etc.)の英訳全文。

~(p169-)「劣った下部の人種 inferior sub races」と混ざるべきでない。「優秀な人々 superior people」「どの動物も同じ種で集まり、一緒に暮らしている。」「人種とは拡大した家族であり、同じ人種でコミュニティを構成するべきだ。」

~「より良い人間を生む(breed)ため、優生学に踏み込む。」(p172-)「1920年代・1930年代に、ドイツ人と優生学研究をした。アメリカの大学にも優生学センターを導入した。」(p175-)白人の美しいアーリア人女性が滅びてはいけない。白人の存在と白人の子どもの将来を守る。

p176-)ウェブサイトに「聖なるアーリア人の聖句 Sacred Aryan Religious Texts

~(p172-)アパラチア地方はアメリカから独立して別の国になるべきだ。

~(p175-)(p183-)シリア空爆に反対、他国に介入すべきでない。


(引用者注)白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」は、ナチスの優生思想を基礎にしていて、便乗の動きはあっても、トランプ現象はこれと切り離して理解するのがよい。

アーリア人「語義、高貴な者」という幻想・神話。共通祖先アーリア人から、インド・ヨーロッパ語系の民族が発生したとする学説。次いで「諸文明の祖」というイメージになる。フランス人ゴビノーの1855年「人種不平等論」は、黒色<黄色<白色を劣等<優等と主張。セム語系ユダヤ人は非白人とした。英国はインド支配を正当化して、ワーグナーはドイツ人が純粋なアーリア人とした。イギリス人で(1916年ドイツに帰化した)チェンバレンの1899年「19世紀の基礎」は、ゲルマン人が「文明の創造を担う優越人種」とした。「金髪・高貴で勇敢・勤勉で誠実・健康で強靭」という理想。全欧で広範に読まれた。

6 移民

(1)20171月大統領令「テロ懸念のある特定国にビザ発給停止。シリア、イエメン、イラク、イラン、リビア、ソマリア、スーダンの7か国。」

~(p200-)ニューヨーク近代美術館が、敢えて7か国芸術家の作品を展示した。(p201-p203)作品を前に、56歳のときにナチスから逃れてアメリカに来た女性が「歴史を繰り返すことに抗議しなければならない。」(引用者注:ユダヤ人のイスラエルはパレスチナ人を追い出して建国しているが、抗議しないようだ。中東の破綻国家の多くは、ならず者国家イスラエルが原因だ。)

~(p203-)ヨルダン出身の医師「出身国を理由に危険人物のように扱われてしまう。一般のアメリカ人に同じような発想が広まることが心配。」


(2)(p203-p21120179月、(連邦議会に)6か月の猶予を設けて(この間に法律ができなければ)DAKAを撤廃。

DAKAとは)「幼少期(16歳未満)に(親に連れられて)米国に到着した(滞在許可の無い)移民への(強制送還の)(2年間)延期措置(更新有り)」(をした大統領令)、69万人のうち、メキシコ79%、他は中南米等。

~(p208-p211)これについて、2012年に大統領令で導入したオバマが、声明を出した。(引用者注:出身国をほとんど知らない若者を追い出すのは、人道的でないとも言える。他方、(p206-)抗議デモをする22歳は5歳のときに来た。つまり17年間、滞在許可の無いまま居る。日本では不法滞在と言う。また若者69万人だと、彼らを連れてきた親が同数か倍数か、不法滞在で居ることになる。そもそもオバマが大統領令を出したのは、(p209-)連邦議会に法律制定を依頼したが、法案が出なかったため。つまり当時でも国民が選んだ議会は「滞在許可の無い者をそのまま居させることに」反対だった。これを大統領令で覆せるのは、(p209-)「訴追裁量」(法律違反でも、訴追しなければ、違反したまま居られる)による。「悪法も法」だとソクラテスは死刑判決を受け入れた。本来、一時的措置である「訴追裁量」が、法の規定を曲げて、5年間行われている。(p204-)トランプはこの「訴追裁量」を停止するが、元の法律は変わっていない。オバマの大統領令と同じ内容に、法律改正するかは、連邦議会に委ねられている。デモ参加者は、連邦議会に働き掛けるのが王道になる。オバマは声明で、(p210-)「我々の常識に反している」と言う。もし常識ならば、以前も今回もすぐに連邦議会が法改正するのではないか。また「彼らを追い出しても、税負担は軽くならないし、失業率は下がらず、賃金も上がらない」とも言う。しかし、前記3(1-6)で「母親はイタリア移民だが、政府の支援なしに必死に働いて家を建てた。今の移民は違う。民主党は政府の福祉を期待する人を守る党に変わった。」という意見もある。つまり福祉が係われば税負担があるのではないか。更に、前記3(5)(p64-)オバマの「嘘の約束」のとおり、「雇用を取り戻す」約束や、(p65-2008年大統領予備選挙の、北米自由貿易協定(NAFTA)を改定する約束が実現していないのではないか。だから「失業率は下がらず、賃金も上がらず」、不法滞在の移民が問題になるのではないか。


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【その4】<読書雑感「記者ラストベルトに住むートランプ王国、冷めぬ熱狂」>

7 デモ行進、集会で訴える/8 共和党、トランプ政権発足後の不安・・・記者が住民に取材した/9 就任から1年8月後にトランプを4割の米国民が支持している・・・記者が持つ疑問点