危機の根底意識 | 希望ある未来へ~山内卓オフィシャルブログ~

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生まれ故郷である八戸市を中心に活動する山内卓(やまのうちたかし)の日々考える事などをUPするブログです。


 数日前からですが、シンガポールでヘイズ(大気汚染・煙害)がひどいことになっています。過去最悪の水準らしく、現在シンガポールで勤務中の妹夫妻と電話で話した時に、その詳細を聞きました。この写真は午後1時のシンガポールの街の様子です。



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そしてこれが同じ場所から撮った午後6時の様子。これと比較すると昼のヘイズがどんなにひどい様子か分かると思います。焦げ臭いような、くすぶっているような臭いがするそうです。



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 サッシが入っているので、違う場所に見えるかもしれませんが、樹を見ていただければ同じ場所だと分かります。インドネシア・スマトラ島のパームやしの焼畑が原因で、政府は8社を突き止めてインドネシア政府に通達をしたようですが、現在のところいつ収まるかはまだ見通しが立っていないとのことです。もともと高温多湿で、風通しが良いように作られているシンガポールの建築様式が逆にアダとなって、個々の家でも対応を迫られているそうです。妹夫妻には昨年末産まれたばかりの子供、私からすると甥がいますので、仕事のある義弟を残して一時帰国をすることになりました。私としては甥に会えることは嬉しいのですが、子供たちに影響が大きいのは間違いありませんので、一日も早い収束を願っています。


 さて、一昨日報道ステーションで、米国の原発の今を特集していました。テロの危険性に対する安全保障上の観点から、なかなか立ち入ることが許されない中の取材・報道でしたので興味を持って拝見しました。ちょうど原発に関する新規制基準、再稼働の申請などが話題となった時期、それを受けてのものだったのでしょう。米国の原発では危機管理体制が徹底され、規制基準も辞書くらい分厚い冊子になるくらい詳細に決められていて、その上で抜き打ち検査も行なわれているそうです。併せて日本の「儀式的な」検査と比較されていました。こういった様子を観れば、日本との危機管理体制の違いをまざまざと感じざるを得ませんでした。少なくとももんじゅでの1万点近い点検漏れ、更に昨日明らかとなった2100点の点検漏れなどは起きないのだろうと思います。


 実際に取材した方の認識として、「米国では原発は不完全でとても危険なものという根底意識が徹底していると感じた」という言葉が印象に残っています。米国のように危機管理を徹底すれば良いという性質のものではありませんが、少なくとも福島原発事故を経験した上で「世界一安全」と厚顔に言い張り、輸出を促進し、再稼働ありきの姿勢には、どこか危機意識が麻痺をしているのではないかと感じざるを得ません。やはり制御し切れないものに見切りを付けて、現実的にエネルギー政策を転換していくことが日本という国家、世界を守る為に必要な選択であると感じます。まずは福島の収束、廃炉への具体的な道筋を策定すること、そしてエネルギー政策の転換から雇用と産業の創出に結びつけていくことが、世界にも将来世代にも責任のある政治なのではないでしょうか。


 上記のヘイズやPM2.5など目に見える煙害もですが、福島では目に見えない影響が住民、特に子供たちにあると思いますので、その対応を日本政府は責任を持って考えなければならないと思います。チェルノブイリで甲状腺ガンの急増が認められるようになった、因果関係を国連が認めたのは事故10年近く経ってからだったと記憶しています。軽水炉、黒鉛炉の違いによる飛散など影響の違いはあるでしょうが、将来世代を担う子供たちを守る為にも、福島に目を向けていかねば真の復興は有り得ないと思っています。そういった意味では高市政調会長のお言葉は撤回して済む性質のものではない、政府の目がどこを向いているのかが露見したものだと感じました。政治は未来を創るもの、未来を見据えて【いのちと国民の生活を優先する政治】を訴えて行きたいと思います!