人口から見る経済 | 希望ある未来へ~山内卓オフィシャルブログ~

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生まれ故郷である八戸市を中心に活動する山内卓(やまのうちたかし)の日々考える事などをUPするブログです。

 昨日、厚生労働省の人口動態統計で、青森県の人口自然減が過去最大になったことが明らかになりました。死亡数が過去最多、そして出生数が1950年以降過去最低ということで、今後も自然減はさらに続くだろうとの見通しです。これは青森県にだけ限ったことではありませんが、世界に類を見ない少子高齢社会である日本の未来を描く上で、人口動態の分析やそこに着眼した対策というのは必要不可欠であり、大局的・断続的に取り組まなければいけない課題であると思います。


 青森県の人口減少に関しては以前もここで述べました。


→ http://ameblo.jp/t-yama43423/entry-11499679436.html  (人口動態と一票の格差)


この時は選挙制度と関連した話でしたが、今回は国民生活と人口動態について考察をしてみたいと思います。青森県に限らず、日本全体が人口減少傾向にあります。これは以前も書いたように、投票率の高い年齢層に向けた55年体制以降の政治の産物で、先送りして来た歪みが出て来た格好だと私は感じています。


 人口、特に生産年齢人口の減少というのは、社会保障やGDP、国民生活への影響に直結して来ます。今までの社会保障制度を考えれば、かなり自転車操業的な要素が強く、私たち世代では年金自体もらえる期待もしていないという仲間が多数います。社会保障制度に関しては本当に抜本的な改革をしなければいけない、そのグランドデザインを描く必要があるとさんざんここでも言って来ましたし、その考えも述べて来ました。人口減少に見合った社会の構築に関しては、GDPなどを考えなくても、この問題がある限りは、身の丈に合った規模の国作りというようには急には変えられないと感じます。


 そして経済の面でも大きな影響があると考えられます。GDPという指標のもと、経済成長が大きな注目を浴びる現在では、人口減少の影響があまり考慮されていないように感じるのです。「日本の技術で」との掛け声をよく耳にしますが、技術に関しては確かに進んでいる分野もあり、優位性があるところもあるでしょう。しかし、あまりにもその幻想に囚われてしまうと、実態が見えないということにもなりかねません。経済を発展させる為には、生産水準と消費水準の両方を高めていかねばなりませんが、生産水準は技術で高められると思いますが、後者の消費水準に関しては、技術で高めていくことは非常に難しいと感じます。


 今までも論じて来ましたが、海外での輸出拡大を考えていくことは必要ですが、日本の技術の側面としてガラパゴス化=独自の進化という形で、海外のニーズを捉えきれていないように感じます。そこに関しては、米韓FTA締結よりも10年も前から、米国の家電市場で韓国企業が最大シェアを占めていることを鑑みて、国際競争力というものを研究する必要があるのではないかと思っています。多機能であることとニーズというものは、国によっては必ずしも結びつくものではないように感じます。


 こういったことから内需を考えれば近い将来の移民に関して、是非はあるでしょうが、検討していかねばならない課題だと思います。先日成立したマイナンバー制度はこの一つのステップであるという議論もあります。現状の外国人の国内増加は約7~8万人のペースで、これでは日本の人口60~70万人の減少、2041年以降は年間100万人のペースで減少すると言われていますから、考え得る規模で最大限移民を受け入れたとしても、とても追いつけるものではないと思います。そして、移民を考えた場合にはやはりヘイトスピーチに代表されるような国民感情の問題も出て来るでしょうし、移民にとって暮らしやすい国であるかは問題になって来ると思います。いずれにしても、移民を考えても、それだけでは解決できないと感じます。


 やはり私たちは少子化のペースを緩めていくような、そういった対策に真剣に取り組んでいかねばならないと感じます。現政府からは少子化について、目立った対策の意識は見られないように感じます。経済成長は少子化対策とセットで考える視点が必要だと私は思います。私たち生活の党は、「子供を産みにくい、育てにくい」社会状況の打破、人づくりへの積極的な投資を掲げ、具体的には出産に関わる費用の負担軽減、中学卒業まで子供一人あたり年間31万2千円の手当て支給(バウチャー含む)、子供が多いほど税負担を緩和することなどの政策を骨子としています。


 青森県という観点から見れば、現状ではいつまでも150万人規模の政策を見据えた都市計画というわけにはいかないでしょう。少子化対策は国全体の政策に負う部分も大きいのですが、人口流出・社会減少をいかに止めるか、ということを課題にして行かねばならないと思います。私は沖縄県に学ぶ部分があるのではないかと感じています。人口減少の潮流の中、地方圏にあって、東京・神奈川・千葉に次ぐ増加率で沖縄では人口が増え続けています。【行ってみたい県】であるばかりでなく、【住んでみたい県】であることは非常に重要なのではないかと思います。進学で都市部に出た若い世代に聞いても、「帰って来たいけど職が無い」という言葉をよく聞きます。若い世代のUターン、Iターンを受け入れる土台の整備、雇用の創出の取り組みは必要不可欠だと感じます。


 いずれにしても、日本の未来を担うのは若い世代です。そして連綿とその灯を絶やさず、国家と故郷を守っていかなければなりません。地域が活力を失ったら、国家全体も活力を失ってしまいます。これから産まれ来る世代も含めて、少子化対策に国として取り組み、そして地域が主役になり自立できる社会を構築する。その為にも不可欠な視点を、現実を踏まえ未来へ向けた訴えを続けていきたいと思います。