腕時計の振動数について、5振動とか、28800振動/時間とか、色々書かれていますが、これは何か?
機械式時計を耳に当てるとカチコチと音がしているのが聞こえると思います。その音はテンプとアンクルと呼ばれる脱進機構(だっしんきこう)*1から発生している音です。
5振動というと1秒間に5回カチコチカチコチカチと左右に振動しており、10振動なら1秒間に10回です。
この数字に1時間の秒数である3600をかけた物が18000振動とか36000振動という数字の意味です。
5振動 = 18000振動/時間 = 9000Hz
6振動 = 21600振動/時間 = 10800Hz
8振動 = 28800振動/時間 = 14400Hz
10振動 = 36000振動/時間 = 18000Hz
となります。
(周波数[Hz]で表すと周期になるので半分)*2
で、それかなんなんですか?と思われるでしょうが、1秒間をどれだけ細かく分割しているのかということです。
なぜ細かく分割するのか?1秒に一回しかタイミングを取らない場合に、頑張ってずれないように調整するよりも、1秒間に10回タイミングを取れば、誤差ができても誤差自体を小さくできるよね?ということです。
ようするに正確性が増すということになります。
上手い説明が思いつかないのですが、大きなニンジンを一度しか切らないで大きさを揃えるよりも、何十回も切った方が同じような形に揃えやすいですよね?
1秒という時間をなるべく沢山に切り分けて一個当たりの誤差を少なくすることで生じる総合の誤差を減らすという方法です。
この振動数を目で見るには時計の秒針を見るとわかりやすいです。下記の動画では1秒のメモリの間を秒針が何回動いているか?で振動数が確認できると思います。
5振動 メモリの間を針が5回動く
8振動 メモリの間を8回針が動く
10振動 メモリの間を10回針が動く
お手持ちの時計もスマートフォンのカメラでスローモーション機能を使えば確認できると思います。
なお、基本的にはクォーツ時計は1秒に一度しか針は動きません。
*1 脱進機構 動力源のゼンマイからのトルクは歯車を回転させます。その回転運動を左右の往復運動に変換してタイミングをとる機構です。
*2 振動とは、往復運動や周期運動の中間地点、半分の時点までを表しています。時計の音をカチコチとかチクタクと表現しますが、そのカチとチクの部分です。カチコチセットで一周期=1Hzと思えばだいたいわかりやすい。
◾️ムーブメントリスト