ハセガワ1/48の九七式自動貨車 | 柏駅から70チェーン

ハセガワ1/48の九七式自動貨車

以下、聞きかじりの伝聞情報。正確度において自信なし!

2月中旬、九五式小型乗用車三型と九七式自動貨車のセットがハセガワより発売になります。縮尺は1/48で、価格は多分、本体3,200円、税込3,360円。

九五式小型乗用車は、いわゆる「くろがね四起」で、幌は開閉いずれかより選択。フィギュアは運転手と助手席の機銃手。三ハ式歩兵銃、九六式軽機関銃、それから砲隊鏡が付属。砲隊鏡が付くということはつまり、この車が航空部隊のスタッフカー云々ではないということをハセガワは理解している、と。

九七式自動貨車は、いすゞTX40の軍用タイプ。二式複戦とセットで売られた燃料給油車のシャシーおよび運転台を利用して、タンクの代わりに荷台を載せたもの。キットは、荷台に被せる幌やドラム缶も付属。ちなみに製品は商工省標準形式たる民需用のTX40ではなくて、あくまで陸軍制式の「九七式自動貨車」なので、運転台の屋根はハードトップではなくてソフトトップたる幌。荷台の形状も軍用のそれになっています。

この際、陸軍制式でもいいです。ともあれ、これでやっと、日本の陸軍飛行場にポンと置ける自動車が1/48で出るんですねぇ。ここまでの道は長かった(シミジミ)。待っているうちに四十代になちゃったもんねぇ。こうなるとトラックのみならず、飛行場大隊で使用していたフォードなどのセダンも欲しくなります。そうそう、フォードV8も忘れずに。

でもどうせなら、ドラム缶ではなくて、代燃炉をアクセサリーで付けて貰いたかったりして(笑)。

ところで、「九七式四輪自動貨車」と、四輪の二文字を加えた表記を時折見かけます。しかしながらこの車の制式名称は、「九七式自動貨車」ではないでしょうか。マニュアルの表題も、『九七式自動貨車取扱法及説明書』となっています。管見の限りでは、公文書でも「四輪」を付したものは存じませぬ。


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【ドラム缶あれこれ】

陸軍の自動車や自動車隊に関係する文書を見ていると、「大ドラム罐」「小ドラム罐」という言葉が出てきます。このうち「大ドラム罐」というのは、我々がよく知っているいわゆるドラム缶で、ただし日本軍のは200リットル入りではなくて180リットル入り。一方「小ドラム罐」は20リットル入り。小ドラム罐の方は、たとえば数日にわたる行動などの際に、補給用燃料を入れて荷台に載せておくという風によく利用されたらしい。


ちなみに、出かけ先での給油作業に一番適しているとされたのは、「ブリキ罐」とか「石油罐」と呼ばれた、18リットル入りのいわゆる一斗缶です。なぜなら、ドラム缶だとポンプが必要になるから。ただし一斗缶は、車両に載せて携行すると、ドラム缶とは異なって外板がすぐにベコベコになるなど耐久性の上で大きな問題がありました。かのイギリス軍も4ガロン入りブリキ缶を使っていましたから、同じ悩みがあったのではないかと考えております。


さて、ドラム缶のような耐久性と、一斗缶のような給油作業の簡便性を追求した結果イタリア軍で生みだされたのが、20リットル入りのガソリン携行缶。いわゆるミリタリーマニアいうところの「ジェリ缶」です。これが北アフリカの戦場を経て枢軸側のみならず連合国にも広く普及したのは皆様ご承知のとおり。しかし、海外情報といえば攻撃用尖端兵器とか複雑精巧な兵器にばかり気を取られていた我が国の陸海軍首脳は、こんな簡便な容器を徴集されてきた兵士に持たせてやろうとはついぞ思わなかったのでしょうね。国軍将兵は、ドラム缶と一斗缶と一升瓶とサイダー瓶で戦争を続けたのです。