山中貞雄を見たことがないのは、チト、サビシイ | sunsun cafe

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『“山中貞雄”を見たことがないのは、チト、サビシイ』
開催期間:6月14日~7月4日 
鑑賞料金(1作品):一般 1,000円 学生・シニア 800円

【6月14日~20日】『丹下左膳餘話 百萬兩の壺』
1935年/91分/日活京都/モノクロ/35mm
構成・監督:山中貞雄
出演:大河内傳次郎(丹下左膳)/喜代三(お藤)/宗春太郎(ちょび安)
ある小藩に伝わるこけ猿の壺、その壺の中には先祖が隠した百 万両のありかが示されていた。その壺を巡って、藩主の弟の道場主や父親 を殺された少年、少年を引き取る矢場の女将など様々な人間ドラマが展開する。笑いとテンポを巧みに取り入れた演出は、天才ぶりを証明している。

【6月21日~27日】『河内山宗俊』
1936年/81分/日活京都=太秦発声/モノクロ/35mm
監督・原作:山中貞雄
出演:河原崎長十郎(河内山宗俊)/中村翫右衛門(金子市之丞)/原節子(お浪)
『河内山と直侍』の通称で有名な河竹黙阿弥の歌舞伎『天衣粉上野初花(くもにまごううえののはつはな)』をもとにしつつ、山中と三村伸太郎(脚本)は、姉弟愛と義侠心溢れる市井の人々の物語として描きあげた。お浪を演じた原節子は当時16歳で、スクリーンで見られる最も若い姿である。

【6月28日~7月4日】『人情紙風船』
1937年/86分/PCL=前進座/モノクロ/35mm
監督:山中貞雄
出演:河原崎長十郎(海野又十郎)/中村翫右衛門(髪結新三)/山岸しづ江(おたき)
日本映画史に残る傑作として評価の高い作品 。歌舞伎でお馴染みの河竹黙阿弥原作「髪結新三」の映画化で、出演者もほとんど前進座のメンバーだが、舞台劇とはまったく違う山中監督独自の世界を創り出している。
三村伸太郎が書いた脚本を大幅に改変して完成させたこの作品が公開された1937年8月25日に、山中は招集令状を受け、翌年9月に中国大陸で戦病死した。「従軍記」と題したノートには「『人情紙風船』が遺作ではチト、サビシイ」と書かれていた。

塚口サンサン劇場では、6月14日(土)~7月4日(金)まで、「日本映画の父」「早すぎた天才」と呼ばれている伝説の天才監督、山中貞雄を特集上映します!
あの小津安二郎も「生涯のライバルは山中貞雄だけだった」と言い、黒澤明も撮影に行き詰った時は「山中貞雄だったらどう撮っただろう?」と考えたと言われています。

山中貞雄は、明治42年に生まれ、昭和13年に、わずか28歳の若さで戦争でなくなりました。彼の作品もほとんどが消失し、現在残っているのは今回上映する3作品だけです。
ではなぜ今、山中貞雄を取り上げるのか?それは山中貞雄の映画に漂う小市民感覚は、いつの世も共感できるからです。彼の描くヒーロー像は時代劇の定番の完全無欠ヒーローではなく、弱さやずる賢さもあり、普通の一人の人間として描いています。このヒーロー像は、近年のヒーロー映画と全く同じです。
さらに、初めてご覧いただいた方も、すでに見たことがあるような錯覚を覚えるかもしれません。なぜなら、今、私たちが当たり前のように見ている映画、ドラマ、テレビでよく見るシーンや会話や笑いの取り方、それら全てをこの3作品で見ることができます!これこそが、山中貞雄が「日本映画の父」と呼ばれる所以だと思います。

とは言え、決して権威や巨匠などという言葉で格調高き映画のようなことを声高に言うつもりはありません。完璧な娯楽映画です!「あまり映画知らないし…」「古い映画なんて見たことないから」「見てもわかるかな…」なんて、かしこまる必要なんてまったくありません!大いに笑ってください!そして少し切なくなったり、とにかく気楽に楽しんでもらいたいです。そんな姿を、山中貞雄もきっと喜ぶと信じています。
たった3本しかない貴重な山中貞雄の作品を、35mmフィルムで、しかも大スクリーンでご覧いただけるのは滅多にございません!

知っている人も、知らない人も、ぜひお越しください!