こんにちは、よら天子です。
先週の金曜日に『The Ladyアウンサンスーチー ひき裂かれた愛』を見ました!
© 2010 EuropaCorp - Left Bank Pictures - France 2 Cinéma
映画館の金曜日は普段より忙しく、
予告の編集が怒涛のようにあったり、
次の日から始まる映画の準備に追われています。
この『The Ladyアウンサンスーチー ひき裂かれた愛』鑑賞も
真面目な社会派の映画で少し退屈かも・・・と、
すぐに↑↑↑な状態になる覚悟をして挑みました。
それが!なんと!全然眠くなかったです!
(どんだけ映画で寝てるの・・・というツッコミはご遠慮下さい)
それどころか、何回ハラハラさせるの!何回泣かすの!という
上級エンターテイメントな一面も持った素晴らしい作品でした!
舞台はアウンサンスーチーのいるビルマと旦那さんのいるイギリスです。
まず季節感や、国独特の雰囲気をきちんと描いています。
ビルマは、熱帯雨林独特の空気を放ち、自然が美しく壮大な森に囲まれています。
じわじわと汗が吹き出す画は、湿度の高い国に住む者ならきっと共感出来ます。
そしてマイナス面の描き方も秀逸です。インフラの進んでいない都市、安全が保証されない国。
砂埃りや泥道、虫が床を這うシーンは「百聞は一見にしかず」です。
一方のイギリスは寒々しく、雪か雨のシーンが多いです。
重厚な建物で守られた室内は暖かく、静かで落ち着く空間です。
この重厚な建物は、その地に住む者しか守らない(守れない)とうマイナス面も浮き彫りにします。
安全なところにいる夫や子どもたちの焦燥感が際立ちます。
このような相対的な様々なものや事が、この映画のメリハリになっていると思います。
アウンサンスーチーの邸宅とそこから眺める湖の美しさと穏やかさ。
街中のデモで血を流しながらも自由を求める学生たちの怒りと情熱。
多民族国家としてさまざまな村を訪問するアウサンスーチー。
軍事施設(自分の執務室)から出ずに政治的決定を行なうネ・ウィン将軍。
武力、権力で国民を押さえつける軍事政権、
それに対し非武装で望む、国民民主化連盟。
この異なる性質のものに翻弄されながら、前を向いて歩く彼女にずっと惹きつけられっぱなしです。
アウンサンスーチーを演じているのはミシェル・ヨー。
こんなに素晴らしい役者だとは今まで気がつかず・・・アクション女優だとばかり・・・。
この方のわなわな震える演技にご注目ください!
怒りも悲しみも喜びもこの「わなわな」を使い分けていますよ!
わなわなするたびにドキドキします・・・。
アウンサンスーチーは誰もがニュースで見たことがあると思います。
私はニュースで見て、「上品なべっぴんさんやな~。軟禁って普段何するんやろ・・・」
という感想しかありませんでした。(乏しい感性・・・)
何年か前に軟禁解かれてなかったっけ~と軽い気持ちで見たらノックアウトされました。
なまじちょっとだけ知っているものだから、軟禁が始まった年数を考えてゾッとしました。
ニュースで知るのとは違う側面を映画は伝えています。
でも、それは物事のすべてではありません。
社会情勢を知る手助けをしてくれている重要な作品だと思います。
「あなたが政治を考えなくても、政治はあなたの事を考えるのです。」
この言葉を聞いた兵士の佇まいが忘れられません。
日本も、真っ直ぐな目で優しく穏やかにこの言葉を語れる、
強靭な信念を持つ政治家がどこかにいてくれると思っています。