アボルダージュ!
(接舷攻撃)
「ひるむな、斬り込め!」
宮古湾海戦 明治2年(1869)3月25日
江戸を脱出して箱館へ移った旧徳川幕府勢力と、明治新政府との間に発生した戦闘。
海上戦力では優位を確保していた旧幕勢力だったが、世界造船史上に木造戦艦最後の傑作として名を残すまでの主力艦・開陽丸を嵐によって喪失。
対して新政府は、幕府が米国から購入していた革新的新型艦・甲鉄艦(旧名ストーンウォール号)の取得に成功。
戦力差が逆転したため制海権を喪失して危機を感じた旧幕側が、起死回生を賭けて甲鉄艦の奪取を図った戦闘である。
撃沈など無力化ではなく奪取が作戦目標だったため、近代海上戦闘では珍しい接舷戦闘が行われた。
(フネとフネをぶつけ、陸兵隊が乗り移って斬り込みをかける戦法。古代~近世ではオーソドックスな戦法だが、火力が高まった近代以降では極めて珍しい)
しかし旧幕側の艦隊は宮古湾への航行途中で嵐に遭遇したため四散、甲鉄艦への接舷攻撃に成功したのは回天丸の一隻のみとなった。
そのため充分な白兵戦力を確保することができず、ガドリング砲での掃射など甲鉄艦の甲板上での逆撃で敗退を強いられた。
回天丸艦長の甲賀源吾は、腕、胸に弾丸を受けながらも指揮を執りつづけたものの、頭部に被弾し戦死した。
また新撰組の相馬主計は回天丸艦上で被弾し負傷、野村利三郎は甲鉄艦の艦上で戦死した。
回天丸には検分役として、陸軍奉行並、元新選組副長・土方歳三が座乗していた。
なお、「アボルダージュ」とは、接舷攻撃を意味するフランス語。
旧幕側にはフランス人の軍事顧問団が参加いていたので、その影響かと思われる
(英語では「ボールディング」)。
宮古湾海戦に参加した新政府艦隊の1隻、
薩摩藩の春日丸には後の海軍元帥・日本海海戦の英雄、
若き日の東郷平八郎が乗艦していたが、
この攻撃を「意外こそ起死回生の秘訣」と後年まで語っていたという。
T氏歴史講座 ~了~
https://www.youtube.com/watch?v=CFk548scd38
1988年に放送された日本テレビ年末時代劇スペシャル第4作「五稜郭」
宮古湾海戦も描かれました(↑2:50あたりから)。
ただし史実より脚色されています(渡哲也さん演じる土方歳三も甲鉄艦に斬り込んでいる)。
なんか、こう、幕末史ってロマンなんですよねー
京洛の巷を震え上げさせた新選組の鬼副長が、
バッチリ洋装を決めて、
ベルトに脇差・堀川国広をブチ込んで
写真に収まる。
やっぱロマンでしょ。
冒頭の画像でT氏が手にしている刀は、
土方歳三の「和泉守兼定」
250コイン 2009年リリース
(画像中央)
ちなみにホンモノの相場は、16,500,000円!
「兼定」ブランドの中でも、
土方歳三のものは
二代兼定、通称「之定(のさだ)」
初代や三代の6割増し・・・
・・・というのは、
司馬遼太郎氏の小説「燃えよ剣」で定着した話。
実際は、十一代兼定のようで、
これならば、相場は6,000,000円。
京都を浅葱色の羽織を翻して駆け抜けた剣士が、
海の上の蒸気船でも戦った、
土方歳三と東郷平八郎の邂逅、
やっぱロマンです。
~ロケ地紹介~
大航海時代・海賊船エリア
京都・鴨川エリア
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なお、アメーバ系列のゲーム
「艶がーる」でも
土方歳三編で
宮古湾海戦が
取り上げられています。
ぶっ飛んだ設定が多い
歴史系乙女ゲームの中では、
比較的史実に近いゲームです。