銀河ステーション、
星祭りの夜に
撮影場所;オアシスエリア「ピグニ湖」
着用アイテム;銀河鉄道の車掌さんセット
パズル「銀河鉄道の夜イベント」(2017.12月)
先着チャレンジインセンティブ
![]() | 心の本棚宮沢賢治 銀河鉄道の夜榎木孝明朗読 2,036円 楽天 |
「銀河鉄道の夜」
宮沢賢治の代表作のひとつにして、
推敲中に作者が死去したため未完の名作とも呼ぶべき作品です。
主人公ジョバンニは、銀河を旅する鉄道に乗り込みますが、宇宙旅行をしたわけではありません。
星ぼしを三角標に、天の川を川に見立て、その川沿いを走る銀河鉄道の沿線風景であり、心象風景。
星図の上の旅です。
銀河ステーションを発車した列車は、間もなく北十字を通過。
北十字は1等星デネブを主星とし、南十字と対をなしますが、別名は白鳥座。
列車はすぐに「白鳥」停車場で20分停車していますので、天の川の上を飛ぶ白鳥座を示すと思われます・・・
・・・星と文学、
なんかいつものピグの話題とは、540°ぐらい方向性が違いますけどwww
T氏は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」が大好きなのです。
今日はピグの話題からちょっと離れて、
星の旅に出かけてみましょう。
「銀河鉄道の夜」の中盤~後半部で存在感を発揮するのが、「鷲」の停車場から家庭教師と弟といっしょに乗ってきた少女、かおる。
わし座は、夏の星座。
1等星アルタイルは別名で彦星。
織姫、琴座のベガは対岸ですので、列車は天の川の南側の岸辺を走っているのでしょう。
かおるが語るのは蠍(さそり)の話。
蠍は毒虫と鼻白むジョバンニに「蠍はいい虫よ」と語ります。
さそり座の1等星アンタレス。
銀河鉄道の車窓を真っ赤に染めるほどの、赤い巨星です。
太陽と比べると、直径は720倍、赤外線を含めた光量は6万倍。
表面温度3500ケルビンの赤色超巨星です。
星(恒星)は、水素原子を主燃料とし、核融合反応を起こして光り輝きます。
水素原子を核融合させヘリウム原子を生み出し、その質量差をエネルギーとして放出しているわけです。
核融合をおこすほど物質を圧縮させる重力の力が、縮まろうとする内向きの力。
そして核融合反応が、広がろうとする外向きの力。
両者の釣り合いで、バランスをとっているのが星の姿です。
しかし、水素原子も無限ではないですから、いつの日か星も終わりを迎えます。
ただしアンタレスほど大きくて重い星であれば、その重力でヘリウム原子すらも核融合させることが可能で、水素原子を使い果たしても光り続けられます。
そしてヘリウムを使い果たすと次はリチウムを、さらにはベリリウム、ホウ素、炭素、窒素、酸素・・・と原子番号順に核融合させて元素を生み出してゆきます。
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しかし原子番号26番の鉄は非常に安定性が高い元素で、これを核融合させて27番のコバルトを生み出すことはアンタレス級の巨星をもっても不可能です。
外向きの力、核融合はここで停止。
バランスが崩れた星は、内向きの力、重力によって一挙に縮退、限界点で「超新星爆発」を生じます。
星の中心部で鉄が生成されてから爆発まで、わずかに数十分とか。
この超新星爆発のエネルギーは絶大で、26番・鉄で終わった核融合反応はさらに進行し、27番コバルト以降の元素はこれによって生み出されます。
私たちの身体を構成する元素の多くも、星がいまわの際に残した忘れ形見。
爆発で四散した元素は、再び集まり、またいつの日か中心で星が核融合をおこして光り輝き始めます。
今の太陽系の中心である太陽は、3代目か4代目ではないかと推定されているそうです。
ジョバンニと共に旅したカンパネルラは、南十字を過ぎたあと、暗黒の「石炭袋」のあたりで忽然と姿を消す。
石炭袋の中へ吸い込まれた、と解釈できる表現になっています。
作中では北十字(白鳥座)にも石炭袋があることになっています。
石炭袋とは暗黒星雲と解釈されていますが、現代の私たちが真っ先に思い浮かぶのはブラックホール。
白鳥座にはX-1という、最初にブラックホールと比定された天体もありますし。
ただし、アインシュタインの一般相対性理論の演算結果からブラックホールの存在が論理上で導き出されたのは、賢治の死後のことです。
それでも、カンパネルラが母の面影を重ね合わせていた表現から、万物の究極の形態へ還元されていったような気がしないでもない。
賢治の澄んだ目は、ブラックホールに相当するような存在を捉えていたのかもしれませんね。
さそり座の赤色巨星アンタレスも、その最後に超新星爆発を遂げたあとはブラックホールになる可能性が示されています。
壮大なる星の物語