小唄備忘録500番―その157「恋しき人」 | 江戸小唄と三味線のブログ

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芸妓から女優養成所の支援や歌人としても名を成し、当時の各界文化人から慕われた中洲辰巳屋の女将、加藤雛子を唄った小唄です。

 

時は中秋です。

 

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解説;「ふしの間~」は、新古今集に歌われている難波潟の芦の短い節の間から採っています。

 

唄は、ほんの短い間さえ恋しき君以外の人を想うことはできない、黄昏時に東の空から出た月が明るくなる頃、貴女は葛飾の自分の宿で独り過ごしているのだろうか 、という意味です。

 

雛子さんは、吉原の芸妓さんで、小唄の芸も相当なものだったようです。

慕われ応援も多く、女優養成のため欧米視察に行きましたが、帰途モスクワでホテルのガス中毒で不帰の人となりました。和歌は佐々木信綱の門下生でした。

 

甲(カン)の声がなく、中音から低音域の唄です。音の抑え方、ウミジ音遣い(語尾の母音とか)が難しい曲です。

 

明治期で、一説には政治家山田顕義作詞、菅野さな作曲とあります。 

 

小唄備忘録500番―その157「恋しき人」(1分58秒)

 

画は、三代豊国「風流源氏つくだ」(上)と、揚州周延「月秋の三曲」(明治22年)(下)です。