とはずがたり
~人生の扉~
思えば 僕は 母を苛立たせてばかりいた
幼いころも 学生の頃も
きっとたくさんの不安を抱えて生きていたに違いない
それを理解してあげる余裕が 僕にはなかった
彼女の描く理想の息子には到底なれなかった
眉間に皴を寄せてばかりいた母が 笑うと
心が解き放たれたように
とても嬉しかったのを 覚えている
大人になってからも
彼女の願いを 受け入れて
叶えてあげることができなかった
信じられない速さで 時は過ぎ去っていく
長い旅路の果てに 輝く何かが
あったと
願いたい
今 扉は 閉じられた