雨を溜めた曇り空が、
一頻り、溜め込んでいた思いをぶちまけていた。

通り雨―。

傘など持ってはいない、駆け込んだビル。
一階のテナント、欲しくもないセール品を眺めながら、彼の気がおさまる時を待つ。

通り雨―。


雨を溜めた曇り空のように、
一頻り、溜め込んでいた思いをぶちまけていた…君。

通り雨―。

傘など持ってはいない、駆け込むビルすらない。
街の景色を見るでもなく、ただ眺めながら君の気がおさまる時を待つ。

通り雨―。


雨が止んだら、
一人で帰ろう。