さがのひを『先生、二度目の恋は・・・』
（あらすじ）
６年付き合った彼氏に振られて半年。
高校教師になった三国ツカサは思いを引きずったまま、ヤケになってゲイバーで飲んでいた。
ある日、名も知らぬ男に口説かれる三国に、図体のでかい大男がおせっかいを焼いてきた。
二週間後、学校行事の下見にガイドとして現れたのはその時の大男・松田笑吾で―――！？
大型ワンコ系営業マン×傷心中のネコ系教師
描きおろし後日談1話分収録！
大好きなCP！！ ９３点
今回ご紹介するのは、さがのひを先生の『先生、二度目の恋は・・・』です。さがのひを先生の作品の中でも一番好きな作品かもしれません！
実はこちら、『きみのにおい』という作品のスピンオフ作品でして。あちらで主人公たちが入居したシェアハウスに先に住んでいたCPの馴れ初め話。人目もはばからないラブラブぶりが際立っていた２人はこんなふうに出会っていたのかーという楽しみ方もできますが、『きみのにおい』を読んでいなくても充分単体で楽しめる作品でもあります。
とにかく、この作品は主人公CPの相性の良さが素晴らしいです。それは体格差という見た目の部分ももちろんありますが、性格の部分でもとっても相性が良いというか、お惹かれあうのも納得の２人。お互いに本当に好きだということがよくわかるし、ずっとこのまま幸せなんだろうなと思わせられるので、読み終わってものすごく幸せな気持ちになりました。
６年間つきあっていた人に一方的に振られてしまった三国は、胸にぽっかり空いた穴を埋めるために半ば自棄になってゲイバーで出会った行きずりの男と一晩過ごそうとしたところを、体の大きな男に邪魔をされます。ところが、学校行事の下見に行った先で担当のツアコンがその体の大きな男・松田だということが判明、さらには松田は積極的に三国に関わってきて・・・。
まず、松田が体が大きくて、笑顔がとっても素敵なんです！！（何せ名前が笑吾ですからね。うん、いい名前）三国の前では尻尾をぶんぶんさせてるのが見えちゃうくらいの典型的な大型わんこです。しかも。アレの時にはかなりの雄味をしっかり出してくるという、大型わんこの理想形でした！対する三国は、繊細な美人。白衣が似合う儚げでアンニュイな雰囲気が素敵です。実は松田はゲイバーで出会う前から、学校で三国を見かけていて一目ぼれしていたんですねー。
この体格差がかなりある２人のビジュアルに、まずめちゃくちゃ燃えました。松田は背が高いだけでなく筋肉質なのでがっちりしてるんですよね。三国を抱きしめるとすっぽり被さるようになるのとか最高。あとデートで２人がダイビングスーツを着るところとか、一緒にお風呂に入るところとか、いやー良かったですねー。
そして何より、２人の人柄とその相性の良さが素晴らしい。
三国はぱっと見は気だるげで生徒とのやりとりも淡々としているけどちゃんと生徒に慕われてるとか、自分がゲイであることで親の期待に応えられないからせめて父親と同じ教職に就くことにしたとか、何より高校時代の家庭教師と６年間つきあっていたという一途さ！優しくて真面目で、繊細なんですよ。だからこそ、三国にとって失恋の傷が深いのは当たり前。だって初恋の相手ですよ。でも実際会うのはいつも部屋だけで、デートらしいことを一度もしなかったていうのが、なんかもうね。いや、その元家庭教師クソ野郎じゃん！とイライラしました。
そんな三国が２度目の恋愛に臆病になるのは当たり前のこと。でも、ここで現れるのが、まっすぐで明るくて、三国を放っておけない優しさをもっている松田というところがいいですよね。三国の寂しげな表情に気が付いて、笑顔にしてあげたい、いろいろなところに連れていってあげたいという彼が、閉じていた三国の心を開いていきます。そして、開くだけじゃなくて、三国をいろいろ縛っていたものから解放していく原動力に松田がなっていくんです！最高！！
今読み返してもキュンがすごいので、ぜひ、まだ読んでいない人は読んでみてください。他にも、三国の高校の生徒穂村くんのお話とか、松田の高校時代とか、すべてのエピソードがちゃんとうまくお話の中で機能していて、話運びのうまさはさすがだなと思いました。あと、さがのひを先生は絵がとってもお上手で素敵なんですが、ちゃんとエロの部分も描いてくださるのが大好きです！！三国の「トロトロのグズグズ」顔もですし、そんな三国を前にして凶暴になる松田とか・・・。
ということで、さがのひを先生の『先生、二度目の恋は・・・』は優しい気持ちになれる作品です。最近世の中ではいろいろ気持ちが暗くなることが多いですが、癒しの１冊としてオススメです！！