みなさん、こんばんは。
恩田勉です。
本日は木曜恒例の競馬界に関するエッセイを。
騎手の収入、とくに若手についてのお話をいたしましょう。



八百長疑惑で収集がつかない相撲界。
星の貸し借りが横行した一つの原因として、給料の格差が取り上げられています。

関取になれば月に百万の給料が貰えるが、幕下以下は無給。
年は若くても関取になれば年上の付け人を従える。
勝負の世界だから当然のことながら、実力の世界は見た目以上に厳しいのです。


では、競馬の世界ではどうなのか?
収入に関して、まだ若い乗り役に尋ねてみました。

東西150人以上いる騎手の収入にも、上から下まで大きな格差があります。
その格差のために生活に支障を来たす場合もあり、昨年は10名以上が騎手免許を返上して調教助手に転身しました。
多くが30歳前後の、いわゆる働き盛りです。

フリー化が進んだ現在は、厩舎所属騎手は減量が取れる3年間だけ。
それ以後はステッキ一本で身を立てるしかない。
いわゆる固定給なしで、完全歩合制になるのです。
18歳でデビューすれば、21歳からはいわゆる「乗ってなんぼ」の世界に入ります。
進上金は賞金の5%(8着以上)。
自分の手でつかみ取る以外に、生活の糧はありません。

ここでは稼げる騎手の話は別として、生活のボーダーライン上にいる騎手について話しましょう。
平場の騎乗料(いわゆる手当)は、23,400円(障害61,300円)です。
従って、年間100鞍乗って200万強、着賞金が加わりプラス200万で約400万円の年収という計算になります。
これが大体ギリギリの線ですが、しかし、しょせんこれは仮想の数字。
100鞍乗れれば、という条件付です。

昨年、騎乗数100鞍以下は20名前後(障害騎手を除く)でした。
昨今の外人騎手の出稼ぎラッシュで、ますます乗り鞍数減少の傾向は強くなっています。
その結果、騎手生活断念もやむなしというケースが出てくるのです。

レースに乗りたくても、その機会を与えて貰わなければ、どんなに腕を磨き精進しても花咲くことはありません。
厳しい世界なのです。

騎乗依頼のないい騎手は、どのように生活しているのか?
たいていの場合、稽古を手伝うという方法で稼いでいます。
攻め馬の騎乗料は1頭につき平場1,700円(障害4,600円)。
4時間の調教時間内で、攻め馬に乗れる頭数は多くても5~6頭。
ですから、1日1万円弱の計算になります。
レースに乗らず、ずっと攻め馬の手伝いをしたなら月20万円強。
トレセン周辺は家賃が一般社会に比べて安いといっても、華やかな世界に憧れて入って来る若者にとっては期待外れもいいとこでしょう。
アッというまに、厳しい生活苦へ転落するケースすらあるのです。

レース数が少ない障害界は更に厳しく、関西では、フルゲートになると乗り役が足りなくなることも。
レース数が少ないので、相対的に稼げない。
ゆえに障害への騎乗が敬遠される。
まさしく悪循環ですね。

騎手を諦めて調教助手に転身を決意しても、これまた厩舎に空き人数がないと入れません。
基本的には20馬房につき3人の調教助手が認められていますが、本人が希望しても調教師が欲しいと望んでも、空きがなければ叶わないのです。

従って騎手を断念して調教助手に転身したくても、空きがないために、やむなく騎手を続けている。
こういう者が20名近くいるというのが実際のところです。

一流騎手への騎乗依頼の集中、外人騎手への短期免許の乱発。
これにより毎年20名近くが騎手を断念せざるを得ない中、今年も東西で新人騎手7名がデビューします。
どうか皆、乗れる騎手に育ってくれと願わずにいられません。


どうです、みなさん。
好きなことを職業にしても、こういう厳しさが待っている。
案外、一般社会で雇われているほうが気楽なような・・・。
そんな気がしてきませんか?
たまにはヤジるだけでなく、応援してあげてください。
外人や一流は、いくらヤジっても構わないですが(笑)
彼らは“乗れて当たり前”ですので。


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