みなさん、こんばんは。
恩田勉です。

本日は、今週のレースについての話の前にエッセイを。
競馬ファンのみなさんがビックリ仰天、あるいは深いため息をついてしまうかのような競馬界のウラ話です。
まずは、じっくりお読みください。



最近では、クラス編成が事細かく分けられ、しかも昔は存在しなかった「優先出走権制度」が出来ました。
内容は、以下のようなものです。


未勝利戦、古馬500万クラスは5着以内に次走への優先出走権がある。
1000万以上の準オープンは3着以内。


この制度の出現によって、厩舎の考え方にとある変化が。

今ではそんなことを考える厩舎も少なくなりましたが、ひと昔前は、

「いかにして馬主に賞金を稼がせるか」

それが勝敗云々よりも優先していた時代がありました。

勝ちたくない馬、いわゆる、勝ち上がると上のクラスではまるっきり賞金を稼いでこれない馬もいます。
そうした馬に対する考え方、扱い方が、否応なく変化せざるをえない状況になったのです。

正直にいえば、たいして苦労して馬を造らなくても、ずっとそのクラスに留まっていればいい。
上のクラスに行って苦戦するよりは、ずっと持続的に賞金が稼げる。
いまの時代のようにスペアがゴロゴロいない時代、一頭の馬を大事に使わなければならなかった時代に於いてはなおさらでした。

細かいクラス編成などなかったひと昔前は(2000年前後)実際、条件クラスではこのような考え方が主流を占めていました。
いずれはオープンで走れる馬は別にしても、大多数の馬はクラスが上がれば賞金を稼ぐのに苦労するのが当然。
“馬主神様の世界”ではしごく当然のことだったのです。

ここに勝ちたくない馬が数多く存在して、その結果「ひっぱり」というような疑惑めいたレースをするものも出てきました。
レースを仕組んで「八百長」するのとは違い、勝てないようなレースをワザとするのです。

たとえば500万条件では掲示板に乗ることが難しい馬でも、未勝利を使っていれば掲示板を外さないという馬は沢山います。
そのようなケースでは、勝つ力があってもむしろ勝たないのです。
未勝利でも7~8回3着前後を拾っていれば、未勝利2勝分は稼げる訳ですから、そんなレースを繰り返していた馬も過去にはいました。

で、どんなレースをするかといえば、薬は尿検査もあるし、営業停止処分の可能性もある。
なので、レース中の不利を装うのが一番の方法でした。
出遅れや、馬込みに突っ込むとか不利もないのに大外を回るとか。

私がそれを初めて見たのは80年代前半のTM時代、夏の新潟未勝利戦でした。
M厩舎のU騎手が、勝ちたくないのかテンから引っ張りっぱなし。
それでも未勝利では力が違う馬でしたので、あっというまに先行馬群に取りついてしまいました。
そこで仕方なく、4角で外ラチまでバカついたような恰好をして2着に終わらせたのでした。

こういう確信めいた書き方をするのには、無論ワケがあります。
後日彼に、
「勝ちたくなかったんだね」
そう尋ねたところ、ニカッとした表情のまま私の眼を見返したのです。

「ああ、やっぱりか」

私は瞬間、理解しました。

記憶をたどれば、当事者に尋ねなくとも、昔はこんなレースが時々あったように思います。
先輩TMに聞いた話によると、昔南関東で、こういうオカシナ話があったそうです。
“来てはいけない馬”が、直線を向いたところで来そうな手応えのまま勢いが衰えない。
そこでマズイと感じた騎手が、ワザとラチに飛び込んだ。
まるで笑い話のようですが、正真正銘、実話です。

考えようによっては、その頃は競馬界の「暗黒時代」。
正々堂々の勝負が出来ないケースも多々あったわけですから、そういう言い方が出来るかもしれないですね。

とはいえ、ここだけの話で、あまり詳しくは書けないのですが、条件戦では今でもそんなレースがチラホラあります。
実のところ、そうした“伝統”は細々と生き残っているのです。
制度が変わったり、細かいクラス編成が出来ても勝ちたくない馬は多く存在するわけですね。
もっとも、昔程あからさまではないのですが――。



今週は京都記念、共同通信杯、クイーンCの3重賞が行われます。
ダンスファンタジアは鉄板か?
混戦の牡馬クラシック候補サバイバルに、一躍名乗りをあげるのは?
混戦の古馬戦線は明け4歳の独壇場??
興味の尽きないレースが目白押しです。

本日の競馬チャンネル では【追い切り情報】 【重賞のツボ】 が更新されています。
明日は各コラムと絶好調黒字街道邁進の【ヒラバの帝王】 が公開されます。
ぜひご覧ください!


にほんブログ村 競馬ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 競馬ブログ 競馬予想サイトへ


人気ブログランキングへ