本日は、ちょっとしたエッセイを。

先週の日経新春杯。
栗東トレセンでは、一週前から非常に興味深い話題になっていました。
ハンデをめぐり、色々な思惑が飛び交ったからです。

きっかけは、こういうウラ話が伝えられたせいでした。

ブエナビスタと共にビックネームのローズキングダム。
この陣営が、一週前の時点で出走の可否について微妙な発言。
それによって、ハンディキャッパーを牽制したのです。

有馬記念を疝痛で直前に回避。
ブエナビスタと決着をつけられなかったローズキングダム陣営にとって、
繰り上がりとはいえ、G1馬のプライドに賭けても負ける訳にはいかない。
そのためにも、58.5kg以上なら使わない。
58kgなら使う。
このように明言したのです。

「出否はハンデ次第」

そういう意味での牽制球を投げかけた格好でした。

ベテラン陣営ならではの老獪な牽制球。
参ったのは主催者側でしょう。
日曜日の最終レース終了後に特別レースの登録は締め切られ、
ハンデはJRAから月曜日の午後3時に発表されます。
目玉となる馬の出走が、ハンデひとつで決められる。
時間的な制約があるわけで、主催者側の困惑ぶりが想像できます。

結果的には58kgでの出走が叶ったローズ。
G1を2勝した馬ですが、いずれにせよ、4歳馬だけに59kgはなかったろう。
が、実績を鑑みれば58.5kgが妥当ではなかったか(これは筆者の個人的な見解なのですが・・・)。

それはともかく、ローズキングダムが出走しないとなると、売上低迷が続くJRAが困るのは確かなことでした。
G1・2勝馬の不在は売上的に、興業的にも避けなければなりません。
主催者は0.5kg減らしてでも、出走して貰うほうを選んだ格好です。

58kgで手を打ち、出走を促したのですから、ことは陣営の思惑どおりに運んだわけです。
(トップハンデ馬が決まると、それを物差しに他馬の斤量が決められて行きます。
ハッキリとした計算方式があるわけではなく、主催者側ハンデキャッパーの主観で決められます。
したがって、当然トップハンデが軽くなれば他馬の斤量も軽くなります。)

この結果ローズキングダム陣営は58kgで納得の出走。
ダービーでは同斤で走り、ローズに2馬身負けたルーラーシップは、
1.5kgのハンデを貰い56.5kgで出走となりました。

強力4歳馬の中で最もハンデに不満だったのは、ヒルノダムール陣営でした。
重賞未勝利馬とG1・2勝馬が2kg差。
到底納得出来ない、という口ぶりでした。
確かに皐月賞の2着はあるものの、この2kg差は実績の差に見合いません。
不満の残る斤量差だったといえます。
(ソースはレース前の陣営コメント)。

で、結果は。
御存知の通り1着はルーラーシップ、2着はヒルノダムール。
肝心のローズキングダムは3着でした。

ローズが58kgの“恵量”で止まったがゆえに、ルーラー自身も軽くすみ、漁夫の利を得た結果になったといえます。
はからずも他陣営の牽制球のおかげで、恩恵を受けた結果となったわけなのです。

絶妙なタイミングでの牽制球を投げて、恵量を得たローズキングダムが3着に敗退。
ビッグネームの参戦で売上増を目論んだJRAは、前年比マイナスという皮肉な結果に終わりました。

JRAは、厳冬期の注目レースがない時期をローズを中心とした豪華メンバーで乗り切ろうと目論み失敗。
58kgなら勝てると臨んだローズ陣営は、意外な“酷量”により敗退。
そのローズが58kgで収まったがゆえに“恵量”を手にしたルーラー陣営が笑う。

様々な思惑違いが生んだ奇妙なレース。

競馬がただ馬や騎手の力量によってのみ結果を出すわけでなく、
人々の思惑によって左右されるものだということが、鮮明になった結果でした。
競馬というモノ、いやはや、一筋縄ではいかないモノです。



先週、元ダービーニュースの丸山康次が引退。
後任として競馬チャンネル予想陣に加入したのは、
パドック解説でおなじみだった『勝馬』の大森照男

強力な助っ人の登場で、ますます魅力的になった競馬チャンネル にご期待ください。
明日は日曜に行われる2重賞の見解をアップ。
お楽しみに!


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