八月の濡れた砂 | 永島敏行オフィシャルブログ「永島敏行の青空ブログ」by Ameba

八月の濡れた砂

b567cbeb.jpg昨日5月26日付の毎日新聞夕刊の「訪ねたい」の欄で、藤田敏八監督の「八月の濡れた砂」が取り上げられていた。
私も学生時代にこの映画を見たときからこの映画の虜になった。
今でも石川セリさんの主題歌が耳に残る。
この映画を見た当時私は、映画好きの。野球部の学生で自分が映画に出演するなど夢にも思ってなかった。
まして、藤田敏八監督と一緒仕事をすることになることも。
私が藤田監督と初めて仕事をしたのは日活「帰らざる日々」でした。
中岡京平さん原作、アリスの同名の曲が主題歌でした。

藤田監督は私が今日まで生きてきたなかで何人もいない魅力的な人でした。
亡くなった私の父と同じ昭和7年生まれ、藤田監督も亡くなられましたが、私はふたりに似ている雰囲気を感じました。
父は13才の時終戦を迎え、戦前戦時中と、戦後の教育、価値観は180度位代わり、何を信じていいかわからなくなったと私に話してくれました。
それ故に権力が嫌いで、気ままな、映画が好きで好きでたまらない男でした。
そのようなところが藤田監督にも私は感じました。

またそれ以上にパキさん〔監督は風貌がパキスタン人に似ているということからこう呼ばれていた〕は魅力的だった。
とにかく細かい事にはこだわらない、例えば初めて監督の運転する車に乗せてもらったときの事、マニュアルの車だったのだが話しに夢中なのか操作できないのかギアをサード以上に入れないので車が唸って走っていたし、ウインカもマチマチにしかださない。

また撮影の昼食にカップ麺を食べようとして自分でお湯を注いでいたのだがどこまで注ぐのかわからずお湯を注ぎ続けていた。・・・イヤ、こんな些細ことだけでなく、男にも女にも惚れられる枠にはまらない大きな人でした。

昨日の毎日の夕刊を読んでいつかパキさんに捧げられる映画を作りろうと思いました。


写真は家の小さな池にさいた睡蓮の花です。

最後に若い人に是非、藤田監督の作品を見てほしいですね。
おもしろいよぉぉ。